会社として母性健康管理の制度は整備されていても、妊娠中の女性は周囲への遠慮から業務の軽減や休憩などの措置を申し出ることができず、我慢してしまうことも多いので、注意が必要です。また、一律に業務の制限をすることも、本人の体調や働きたい意思にそぐわず法律上問題となる場合もあります。妊娠中でも働きやすい職場づくりのためには、すべての妊娠した女性労働者からの母性健康管理の措置を申し出しやすくし、一人ひとりに適した対応ができるよう運用面での配慮や工夫が必要です。
調査結果から、次のポイントごとに、働き方の違いによる母性健康管理の実態をご紹介します。
労働時間が短いと、休憩せず業務を続けしまい、かえって身体に負荷がかかる場合があります。
休憩の他、業務の軽減などの措置も申し出やすくなるよう配慮しましょう。 |
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女性労働者に妊娠中「勤務シフトの変更」、「労働時間の短縮」の措置があったかを聞きました。
いずれも「変更されなかった(申し出もしなかった)」と答えた割合は正社員以外で高く、「勤務シフトの変更」については、正社員以外の51.4%と約半数が申し出ておらず、正社員より10%以上高い割合となっています。また、「申し出なくても、変更された」割合は、正社員以外では正社員の半数となっています。
しかし、「短縮された労働時間」を見ると、正社員と正社員以外とでは大きな差はみられませんでした。
事業主・人事労務担当者に妊娠中の女性労働者への「作業の軽減」について、どのように対応しているか聞きました。
「PC等を使った事務作業への変更」、「椅子に座ってできる業務への変更」、「配置転換」など業務内容の変更を伴う措置の実施については、いずれも正社員の方が正社員以外よりも高い割合となっています。
一方、「勤務時間」や「勤務日数」の短縮・調整については、正社員以外の方が正社員より割合が高くなっています。
また、「軽作業や補助業務への変更」は、正社員、正社員以外ともに同じような割合で、いずれも7割以上と最も多く実施されています。
女性労働者に「休憩」、「休暇」措置について聞きました。
「1日の休憩回数・時間の変更」について聞いたところ、正社員、正社員以外ともに「変更されなかった(申し出もしなかった)」とする割合が最も高くなっています。さらに、正社員以外では、「変更されなかった」とする回答は「変更された」という回答の約3倍となっています。
「休憩の満足度」については、「十分にとれなかった」と答えた人が正社員では46.4%、正社員以外では39.6%と、正社員の方が満足度が低いという結果になっています。
「通院休暇等への配慮」については、正社員は「有給」で通院休暇をとった人が50.6%と約半数を占め多く、次いで「年次有給休暇をとった」となり、「無給」の割合は最も低くなっています。
一方、正社員以外では、正社員とは逆に「無給」で通院休暇をとった人が62.4%と6割を超え最も多く、次いで「有給」の通院休暇、「年次有給休暇」となっています。
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