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母性健康管理とは

職場における母性健康管理の必要性と母性健康管理指導事項連絡カードの役割

日本医科大学産婦人科教授
中井 章人

女性のライフサイクルにおいて、妊娠・出産は極めて重要なイベントです。しかし一方で、身体には大きな変化が起こり、精神的にも負担がかかります。
10kg以上の体重増加とそれに伴う重心の移動は足腰の負担となり、子宮の増大は胸部を圧迫し呼吸機能が低下します。体の中では、ホルモン変化や血液量の増加などが起こり、つわり、便秘、貧血、むくみなど様々な症状を引き起こします。加えて、これらの変化が10ヶ月の間に起こり、出産後はわずか6週間で、妊娠前の状態に戻ります。妊娠した女性は、この急激な変化を受け入れなければならず、時に大きな精神的負担に繋がります。特に出産後は女性のライフサイクルにおいて、最も精神疾患が発症しやすい時期と位置付けられています。
順調に経過していたとしても、妊娠・出産は必ずしも安全なものではありません。実際、昭和30-40年代には、20歳代の女性の死亡原因の第一位は妊娠・出産となっていました。そして、これらを予防し減少させたものが、母性健康管理です。約14回の妊婦健康診査に加え、様々な産後ケアシステムが導入され、我が国は世界一安全に出産できる国になりました。
この安全を維持、向上していくには、妊婦健康診査などの医療的管理の向上に加え、職場における適正な母性健康管理が必要になります。女性労働者が妊娠中・出産後を通じ、安心して働き続けることができるよう、その状態に応じて業務負荷を調整したり、労働環境を整備したりすることが大切です。また、通勤も負担になることがあり、在宅勤務や時差出勤などの配慮が必要になることがあります。
職場における母性健康管理において、「母性健康管理指導事項連絡カード」は、事業主、総務・人事担当者および産業保健スタッフ等とかかりつけ産科医とを繋ぐタスキです。妊娠中や産後に発生する多くの疾患は、その予防が重要で、わずかな兆候に対し安静や就労措置を適確に行えば、その発症を防ぐことが可能になります。「母性健康管理指導事項連絡カード」は、診断書を発行するほどではないが、あまり無理をしない方が良いような状態であることを、かかりつけ産科医から事業所に伝えることができるツールです。このタスキを有効に利用し、職場における母性健康管理を推進して頂ければと思います。
多くの企業で、女性が働きながら安心して子どもを産むことができる環境整備がなされていくことを願います。

関連情報

妊娠中又は出産後の女性労働者の母性を守るため、企業に対して義務付けられている母性健康管理制度をご紹介します。

設問にお答えいただくだけで、母性健康管理の取り組み状況がチェックできます。

妊娠中は体調の変化が著しいため、定期的な健診や周囲のサポートが必要です。諸症状ごとの必要な処置についてご紹介します。

「母健連絡カード」は、医師等の女性労働者への指示事項を適切に事業主に伝達するためのツールです。

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