妊娠中・産後の症状等に対応する措置
妊娠中の症状等に対応する措置
症状等措置内容
つわり 妊娠初期に現れる食欲不振、吐き気、胃の不快感、胃痛、嘔吐などの症状。一般に妊娠12週(第4月)頃に自然に消失する場合が多い。

悪臭がする、換気が悪い、高温多湿などのつわり症状を増悪させる環境における作業の制限
体重が1週間に2kg前後減少する場合、尿中ケトン体が陽性の場合、妊娠12週を過ぎても症状が軽快せずに残る場合

  • →勤務時間の短縮
にんしんおそ
妊娠悪阻
つわりの強いもので食物摂取が不能になり、胃液血液等を混じた嘔吐が激しく全身の栄養状態が悪化する。脳症状(頭痛、軽い意識障害、めまいなど)や肝機能障害が現れる場合がある。

1 週間に3〜4kgの体重減少のある場合、尿中ケトン体が(2+)以上を示す場合、脳症状や肝機能障害(GOT、GPTが100lU/ℓ以上)を示す場合

  • →休業(入院加療)
妊婦貧血 妊娠中の血液量の増加により、血液中の赤血球数又は血色素量が相対的に減少するもので、顔色が悪い(蒼白い)、動悸、息切れ、立ちくらみ、脱力感などの症状が現れる場合がある。

血色素量が9g/㎗以上11g/㎗未満の場合

  • →負担の大きい作業の制限又は勤務時間の短縮

血色素量が9g/㎗未満の場合

  • →休業(自宅療養)
子宮内胎児
発育遅延
子宮内において胎児の発育が遅れている状態。

胎児の推定体重が正常の発育曲線の正常限界より小さい場合

  • →負担の大きい作業の制限、勤務時間の短縮又は休業(自宅療養又は入院加療)
切迫流産
(妊娠22週未満)
流産しかかっている状態。出血、褐色のおりもの、下腹部の痛み、下腹部の張りが徴候となる。
  • →休業(自宅療養又は入院加療)(注1)
切迫早産
(妊娠22週以降)
早産しかかっている状態。出血、下腹部の痛み、下腹部の張り(周期的又は持続するもので、安静にしても治らないもの)、破水感、自覚する胎動の減少などが徴候となる。
  • →休業(自宅療養又は入院加療)(注1)
にんしんふしゅ
妊娠浮腫
(むくみ)

起床時などに、下肢、上肢、顔面などに次のようなむくみが認められ、かつ1週間に500g以上の体重増加がある場合。妊娠後半期(妊娠20週以降)に生じやすい。

  • ●下肢:すねのあたりを指で押すと陥没する。
  • ●上肢:手指のこわばり。はれぼったい。指輪がきつくなる。
  • ●顔面:額を指で押すと陥没する。まぶたがはれぼったい。

軽症(浮腫が全身に及ばない)の場合

  • →負担の大きい作業、 長時間にわたる立作業、同一姿勢を強制される作業の制限又は勤務時間の短縮

重症(浮腫が全身に及ぶ)の場合

  • →休業(入院加療)
たんぱくにょう
蛋白尿
(注2)
尿中に蛋白が現れるもので、ペーパーテストにより検査する場合は連続して2回以上陽性の場合を、24 時間尿で定量した場合は、300mg/日以上を、蛋白尿陽性という。

軽症(300mg/日以上、2g/日未満)の場合

  • →負担の大きい作業、ストレス・緊張を多く感じる作業の制限又は勤務時間の短縮

重症(2g/日以上)の場合

  • →休業(入院加療)
高血圧
(注2)
自覚症状として、頭痛、耳鳴り、ほてりなどが生ずることもあるが、自覚されないことも多いので、定期健診時、職場、家庭等で血圧を測定することが必要である。高血圧が認められたら数時間安静後再検して確認する。

軽症(最高血圧140oHg以上160oHg未満又は最低血圧90oHg以上110oHg未満)の場合

  • →負担の大きい作業、ストレス・緊張を多く感じる作業の制限又は勤務時間の短縮

重症(最高血圧160oHg以上又は最低血圧110oHg以上)の場合

  • →休業(入院加療)
妊娠前から
持っている病気
妊娠により症状の悪化が見られるもの(注3)
  • →負担の大きい作業の制限、勤務時間の短縮又は休業(自宅療養又は入院加療)











じょうみゃくりゅう
静脈瘤
下肢や陰部の静脈がふくれあがったもので、痛み、歩行困難などが生ずることがある。妊娠後半期に起こりやすい。

症状が著しい場合

  • →長時間にわたる立作業、同一姿勢を強制される作業の制限又は横になっての休憩

外痔核の腫れによる痛みや排便痛、排便時出血。

症状が著しい場合

  • →長時間にわたる立作業、同一姿勢を強制される作業の制限又は横になっての休憩
腰痛症 子宮の増大、重心の前方移動、ホルモンの影響等により生ずる腰部の痛み。

症状が著しい場合

  • →長時間にわたる立作業、腰に負担のかかる作業又は同一姿勢を強制される作業の制限
ぼうこうえん
膀胱炎
細菌感染等による膀胱の炎症。尿意が頻繁となり排尿痛や残尿感がある。

症状が著しい場合

  • →負担の大きい作業、長時間拘束される作業又は寒い場所での作業の制限

高熱を伴った腎盂・膀胱炎の場合

  • →休業(入院加療)
多胎妊娠 複数の胎児が同時に子宮内に存在する状態。切迫流早産や子宮内胎児発育遅延を起こしやすい。

双胎の場合

  • →妊娠26週以降、必要に応じ、負担の大きい作業の制限又は勤務時間の短縮

三胎以上の場合

  • →特に慎重な管理を必要とする(注4)
産後の症状等に対応する措置
症状等措置内容
回復不全 産後長期にわたって全身状態の回復が不良なもの。
  • →負担の大きい作業の制限、勤務時間の短縮又は休業(自宅療養)
(注1)前回流早産したことがある場合はより慎重な管理が必要である。
(注2) 妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧が見られる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、且つこれらの症候が偶発合併症によらないものを「妊娠高血圧症候群」といい、母体および胎児・新生児にいろいろな悪影響を及ぼすので、早期発見、早期治療が大切である。
(注3)例えば心臓病、腎臓病、高血圧、糖尿病、ぜんそく、膠原病、甲状腺疾患などは、妊娠により症状が悪化する恐れがある。
(注4)双胎の平均分娩週数は妊娠36週であり、三胎以上はより早い。その10週前からの慎重な管理は、切迫流早産や子宮内胎児発育遅延の予防にとって重要である。
双胎の中には、種類によって胎児予後が悪くなるものがあるので、診断確定のため妊娠初期に数回通院検査の必要がある場合がある。
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