母性健康管理制度について、健康管理部門の役割りをご紹介します。

1.制度・設備の整備に当たって人事管理部門への助言 妊娠時には、母体には通常と異なるさまざまな負荷がかかることから、制度・設備の整備に当たって、健康管理部門から人事管理部門への助言は大切です。制度・設備の整備に当たって、自社にとっての必要な措置について助言を行います。
以下の点などについて適切な助言を行ってください。
- ・妊娠初期の補食が行える場所
- ・妊婦用制服
- ・適宜横臥できるような女性休養室
- ・洋式便器
- ・分煙について
- ・産後の搾乳について 等
2.母性健康管理の重要性について女性労働者や職場の上司・同僚等に対する意識啓発
制度の周知に当たって、健康管理部門が、新入社員教育、新任管理者教育時に講師として説明したり、情報を提供している企業の例もあります。

業務点検の視点 妊産婦等の就業制限の業務の範囲を明確にするに当たって、業務を点検し人事管理部門に助言を行います。
人事管理部門と連携をとりながら実施した企業の事例もあります。
1. |
妊産婦にとってやりにくい作業は何か |
2. |
深夜勤務のある工場に女性労働者を配置するに当たって作業内容、トイレ等の作業環境の整備 |
3. |
妊娠中の配置換え業務の検討 など |

サポート体制づくり 妊娠の通知を受けたら、人事管理部門、健康管理部門、そして医師等と連携を図り女性労働者本人をサポートできる体制を整えておきましょう。また、女性労働者本人と連絡をとり、面談することが望まれます。
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面談時等に、以下のような情報を女性労働者に提供することが望まれます。
母性健康管理に関する情報提供
女性労働者は特に初回妊娠時においては、妊娠について、妊娠と業務との関係についての正しい知識を持っていない場合があります。誤った知識から過度の配慮を求めたり、逆に妊娠中に注意すべき健康管理を怠る場合もあります。
- ・妊娠と業務の関係
- ・「母健連絡カード」を含め医師等からの指示があった場合の対応の方法等
- ・妊娠中の母性健康管理に関する情報

指導事項を確実に実施するための助言 女性労働者の主治医等から指導事項が出された場合、人事管理部門と協力して、必要な対応について協議し、指導事項を確実に実施するための措置内容について具体的な助言を行います。「母健連絡カード」の標準措置を妊娠と業務の関係から読み解いて、最終的にこうしたら良いという適切なアドバイスができるのが健康管理部門です。
主治医等との連携 必要に応じて事業所内での対応状況を女性労働者の了承を得て本人の主治医等に知らせます。女性労働者本人の健康管理に関することは、主治医等のアドバイスを基本とすることが原則ですので、必要に応じて主治医等と連絡をとります。プライバシーの保護については十分配慮します。
女性労働者本人の健康管理に関することは、主治医等のアドバイスを基本とすることが原則です。その際、プライバシーの保護については十分配慮します。

相談への対応
女性労働者本人の相談を受けて、必要な措置を行い、必要に応じて人事管理部門へ具体的な助言を行います。相談に当たっては、保健師が中心となり、健康診断時に妊産婦に対する助言を行うとともに、相談があればアドバイス、カウンセリング、必要な指導等を実施します。
また、必要に応じて血圧等の測定を1日おきにする等、妊娠中の健康管理を行っている企業の例もあります。

復職後のフォロー 人事管理部門から女性労働者の復職情報提供を受けて、復帰後2〜3か月くらいまでは定期的に女性労働者本人や職場の状況を相談等によりフォローしていきます。相談に当たっては、産褥期の女性の身体という視点だけではなく育児をしている女性であることを念頭において、女性労働者からの相談を受け、必要に応じて人事管理部門への具体的な助言を行います。また、「母健連絡カード」等の提出等あれば、上記(指導事項に基づく対応)に基づき実施します。
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