なぜ女性の健康支援
が必要なのか

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健康経営への関心の高まり

「健康経営」とは

「従業員が健康であることが、企業の利益率にもつながる」という観点から、企業が従業員の健康管理を戦略的に実践する「健康経営」に注目が集まっています。従業員が健康で働くことで活力や生産性が向上し、組織の活性化をもたらし、結果として業績や企業価値が向上することが期待されています。
国もその推進を後押しし、顕彰制度として、経済産業省では2014年度から東京証券取引所と共同で、健康経営に取り組んでいる上場企業を「健康経営銘柄」として選定、2016年度からは未上場企業や医療法人などの法人も対象にした「健康経営優良法人認定制度」を開始しています。

健康経営の背景とメリット

健康経営が注目を集める背景には、急速に進む少子高齢化による労働力不足、従業員の高齢化が挙げられます。労働力不足を補うには、あらゆる世代の従業員一人一人が健康でモチベーション高く働くことが欠かせません。健康で働きやすい職場では、生産性も向上し、定着率も向上します。長期的な人材確保の観点からも重要なメリットです。
一方、長時間労働による過労死、自殺等が社会問題として注目され、長時間労働による従業員の労働災害や離職率が高いこと(いわゆるブラック企業)は、企業イメージを著しく損ない、企業にとって大きなリスクとなっています。健康経営に取り組むことが、企業イメージの向上につながります。
加えて、労働者が健康で疾病率がさがることは、企業の社会保険料負担を抑制します。
健康経営に取り組むことで、長期的な人材確保、生産性の向上、企業イメージの向上、保険料負担の軽減などのメリットが期待されることから、従業員の健康支援は、「コスト」ではなく、将来への「投資」と考えられています。
こうした状況を受けてより注目されるのが、女性の健康支援です※1

※1 2018年度からは、健康経営銘柄選定において女性の健康を重点化し、企業に対して行う「健康経営度調査」の質問票の中には、女性特有の健康課題について具体的な質問項目が盛り込まれました。 健康経営についての詳細はこちら(経済産業省)

働く女性の状況の変化と職場への影響

働く女性の増加

女性の社会進出が進み、労働力人口に占める女性の割合は4割を超えています。女性の勤続年数の伸長、初婚・初産年齢の上昇、生涯出生数の減少、平均寿命の伸長など、女性を取り巻く状況は大きく変化し、女性の働き方は多様になりました。

これまで、企業の健康支援は、生活習慣病予防としてのメタボリックシンドローム対策など、どちらかというと男性基準の対策が中心でした。職場において働く女性が増加し、その活躍が一層期待される今、企業にとって女性従業員の健康支援は重要な課題となりつつあります。

女性特有の健康課題

男性と女性と比較すると、かかりやすい病気が違う、同じ病気でもかかりやすい年代や病状、治療法などが異なる場合がある、といったこともわかってきました。特に女性は、思春期、性成熟期、更年期、老年期と生涯を通じて女性ホルモンが大きく変動し、より影響を受けやすいとされています。また、10代から始まる月経や妊娠・出産、比較的若い世代から罹患率が高まる婦人科ガンなど、女性特有の健康課題は様々です。これまで企業では、こうした女性特有の健康課題があることについて、あまり認識はされてきませんでした。

女性特有の健康課題による職場への影響

経済産業省の調査※2では、女性従業員の約5割が女性特有の健康課題により「勤務先で困った経験がある」、また、女性従業員の約4割が女性特有の健康課題などにより「職場で何かをあきらめなくてはならないと感じた経験がある」と回答しています。また、働く女性を対象にした調査では、月経に伴う症状や疾病、更年期症状や障害によって仕事の能率に影響があると女性が回答する一方、ヘルスリテラシーが高いほうが月経や更年期にまつわる不調の際に仕事のパフォーマンスが下がる割合が低いことも報告されています※3 

女性特有の健康課題により仕事の生産性が低下したり、昇進や責任の重い仕事に就くことや自分の望むキャリアをあきらめる女性がいることは、女性だけではなく企業にとっても損失です。

※3 出典「働く女性の健康増進調査2018」特定非営利活動法人日本医療政策機構

女性の健康支援のメリット

健康課題の有無にかかわらず、女性が妊娠・出産、育児などライフイベントを通じて働き続け、その能力を発揮するためにも女性の健康支援が大切です。「健康に自信がある女性ほど長く働き続ける自信がある」、「健康に自信がある女性ほど離職検討の経験が少ない」といった調査結果もあり※4、健康を支援することで、女性の離職を防ぎ、仕事に対する自信やモチベーションを高める効果が期待されます。

※4 出典「働く女性の健康と仕事の実態調査2019」日経BP総研メディカル・ヘルスラボ/一般社団法人ラブテリ

また、女性活躍推進法が施行され、企業における女性の活躍推進が求められている今、女性の健康支援をすることは、企業にとって、長期的な人材の確保や生産性の向上といったメリットをもたらすとともに、人材の定着に基づくキャリアアップや管理職登用につながることも期待されます。少子高齢化により人材不足が深まる中、増々期待される女性の活躍を推進するうえで、女性の健康支援は、欠かせない取り組みです。

女性が働きやすい職場は、男女ともに働きやすい職場につながります。女性の健康支援を通じて、誰もが健康で生き生きと働くことのできる職場づくりに、是非取り組んでください。