専門家コラム

月経調査とその実態・リスク、対策案


1. 働く女性とゆらぎ / 20代で7割、30代で8割を超える不調があると回答

女性の就業率が年々増加(就業率 / 過去最高70%を記録)し、現在では女性管理職の割合も増加の一途を辿っています。 女性は毎月1回の月経や(注1)、ホルモンバランスの大きな揺らぎと付き合っていかねばなりません。月経に関する不調(グラフ2)や月経時の出血により毎回失われる栄養素は、心身の不調 (疲れ・冷え・だるさ・腹痛など)、健康と仕事のパフォーマンスにも影響することがわかっています。
一般社団法人ラブテリが行った働く女性328名(注2) を対象にした調査では、月経前の気になる症状としてあらゆる症状を複数抱え(1位 眠気 / 2位 イライラ / 3位 肌が荒れる)、 さらに月経痛においては7割以上が「ある」と回答し、さらに「鎮痛剤の服用がないと過ごせな痛み」を抱えるものは3割を超える結果となりました。(グラフ1)また、内閣府男女共同参画局の調査(注3) によると、20代で8割、30代で7割以上が何かしらの不調(または無月経)を抱えていると回答しています。(グラフ2)

グラフ1:月経痛の有無
グラフ2:月経に関する調査

2. 月経の基礎知識

月経に関する基本的な情報は、なかなか得る機会がありません。おそらく多くの女性は、中学校・高校等での保健体育の1~2回の授業のみかと思います。
【1回の月経日数は、3~7日(平均5日)、周期は25~38日】月経日数や周期が、日常的にこの数値から逸脱している場合は、婦人科の受診を推奨しています。
私どもの過去の調査(注4)でも、約80%(約5人に1人)が、過去3ヶ月以上、月経が無かった無月経経験があると回答しています。月経は毎月あっても排卵がされていない「無排卵月経」なども存在することから、 月経周期・月経日数の日常的な把握と定期的な婦人科検診などの受診が重要です。


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(注1) 女性登用に対する企業の意識調査(2019 年 / 株式会社・帝国データバンク)
(注2) 「京都保健室調査」Copyrightⓒ 2018 一般社団法人ラブテリAll Rights Reserved.
(注3) 内閣府男女共同参画局「男女の健康意識に関する調査」(平成30年)
(注4) 「全国保健室調査」Copyrightⓒ 2017 一般社団法人ラブテリAll Rights Reserved.

3. 正常な月経周期の維持とPMS症状対策にオススメの3項目

毎月の正常な月経周期は、将来の妊娠・出産希望に関わらず女性にとっては重要です。 PMS(月経前症候群)により、日常生活に支障をきたす症状がある場合は女性化疾患の早期発見も踏まえて、婦人科の受診が推奨されますが、日常生活の習慣によってこうしたトラブル軽減にもつながります。

食事内容がほんの少し変わるだけでも、PMSの症状が軽減されたというお声は過去の働く女性から多く寄せられる声の1つです。ぜひこの機会に実践してみて下さい。

食事・生活習慣の ファーストステップ

1.毎食片手一盛りのタンパク質食材を取り入れよう


タンパク質食材とは、お肉・お魚・卵などの動物性と納豆や豆腐(大豆製品)などの植物性の2種類があります。 特に動物性のタンパク質食材には、PMS症状の緩和と関係の深い栄養素が凝縮されています。(鉄・亜鉛・ビタミンB6)
朝食は卵かけご飯や納豆ご飯、サンドウィッチの場合は卵サンドやツナサンド、ヨーグルトなどをプラスしても良いでしょう。
昼食や夕食は、定食タイプをイメージした主菜(おかず)のあるメニューがおすすめですが、麺類などを選ぶ場合は、鶏肉や魚の入ったものを選んだり、サイドメニューでプラスすることを心がけましょう。
すでにタンパク質を摂る習慣がある方は、疲労が溜まっている時や月経前~月経期間中は、鉄分や亜鉛を効率的に補える赤身のお肉や貝類のメニューを意識してみましょう。


2.栄養のあるおやつを選ぼう


おやつは3食では摂りきれない栄養素を補える、貴重なタイミングです。残業で夕食が遅くなりそうな日は、夕方ごろに栄養のあるおやつや軽食を取り入れることもおすすめです。
おすすめおやつから、補いきれないビタミンやミネラルを補いましょう。
ヨーグルト・ナッツ類 ・ビターチョコ ・ナタデココ / 寒天 ・ドライフルーツ ・海藻スナック大豆スナック・プリン(生クリーム抜き)
残業時はカップスープやお味噌汁、鮭やツナのおにぎりなどもおすすめです。


3.入浴習慣で月経痛を軽減させよう


月経痛と生活習慣に着目した調査で「入浴習慣」の有無によって、症状の強さに傾向が見られました。(注5)
身体が冷えることで血行が滞り、子宮筋の硬直や骨盤内の鬱血が起こることで月経痛が酷くなると考えられています。帰宅時間が遅くなると、睡眠時間確保のためにシャワーのみで短時間で済ませる方も多いかと思 いますが、 週末の時間に余裕がある時はゆっくり入浴する習慣や、自宅にはバスタブがない場合はリラック スを含めて温泉施設で身体を内側からケアしてあげることもおすすめです。

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(注5)「京都保健室」20~40代 328名 (妊産婦・授乳婦は除く)Copyrightⓒ 2018 一般社団法人 Luvtelli All Rights Reserved.

豊永彩子先生

著者:豊永彩子先生
管理栄養士/フリーランス
一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)