特集 働く女性と生理休暇
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企業取組事例:株式会社アイサス
社長自らが問題意識を持って生理休暇制度を改定
生理に関わらず体調が悪い人への思いやりが深まり、皆でカバーし合える会社へ
企業名 | :株式会社アイサス |
業種 | :情報通信業 |
本社所在地 | :石川県金沢市 |
企業規模 | :42人(男性/22人・女性/20人) |
※2023年7月末時点 | |
設立年 | :2005年 |
【お話を伺った方】
代表取締役 百成 公鋭 様
生理休暇の取り組みのきっかけは社長と妻との会話
社長が率先して生理の研修を受講し、必要性を実感したことで全社員が受講
生理の問題について考えたのは、妻と孫について話していたことがきっかけでした。話をしている中で、性教育についても話題が上がったのですが、生理について、それまで話題にすることも知識を得る機会もなかったため、自分がまったく知らないということに気づきました。会社の生理休暇についても、どうなっているのか、あまり認識していなかったため、それではいけないと思いました。
その後、妻から生理に関する研修がテレビで紹介されていたのを教えてもらったので、まずは自分が一人で受けてみたのですが、「この研修は絶対に全社的に受講すべき」と思い、会社でも男性を含めた全社員に受けてもらいました。集合研修だと抵抗感がある人もいたかもしれませんが、オンライン研修なら自分の都合に合わせて受講できるので、それほど抵抗がなかったようです。男性も真剣に受講してくれました。
全社員が受けたかどうか、研修後にアンケートを取って確認しました。男性は研修を受ける前は、生理についてほとんど知らなかったようですが、研修を受けたことで、「症状が軽い人、重い人、それぞれいるということを理解ができた」という声がありました。また、女性同士でも生理の話は恥ずかしくて他人と話しづらいため、症状が軽い人からすると、重い人のつらさがわからなかったり、症状に様々なパターンがあるということがあまり認識されていなかったようです。研修を通じて、人によって症状が違うということが明確になり、男女ともに理解が深まったことが非常に大きな収穫だったと思っています。
インタビュー風景
生理休暇を有給扱いとして申請しやすいよう改定
症状の程度によって、テレワーク制度も活用されています
会社の生理休暇は、それまで無給だったので期間を限定せず有給にしました。せっかく生理休暇の制度があっても、自分の有給休暇を使って休んでいる状況があったので、有給にし、生理前でもPMSで体調が悪ければ休めるように制度を改定しました。名称も生理休暇から「F」休に改め、他の人にわからないようにフォームから申請できるよう申請方法も改良しました。
生理休暇の取り組みを進める中、妊娠した女性社員がおり、つわりがひどいという話をしていました。妊娠中つわりがひどい時にも生理休暇と同様に有給で休んでいいのではないかということで、つわり休暇を導入しました。20日間有給で特別休暇を制定しています。
生理もつわりも軽い、重いがあります。休暇があるから皆休むかというとそういうわけではなく、本当に症状がひどい時は休みますが、症状が軽い場合は仕事をしたいという思いが強い人も多いです。テレワーク制度も導入しているので、会社に行くのはつらいけど、家でなら仕事ができるといった場合はテレワークが活用されています。それぞれが働きやすいように、制度が有効に使われていると感じています。
社員の要望を受け、生理用品と痛み止めの薬を常備
体調が悪い時に休めるソファーなど、社員が気持ちよく働けるような設備は積極的に取り入れています
制度の改定の他、社内アンケートで社員からの要望が多かったので、生理用品と痛み止めなどの薬を常備しています。生理用品は社内トイレに軽い日用、重い日用など数種類揃えています。痛み止めは薬箱に常備しています。
常備している生理用品
更衣室には横になれるソファーを設置して、仕事中に調子が悪くなった時に休めるようにしています。また、生理休暇の取り組みの前から、冷えは健康に良くないということで、男女関係なく希望者には、足元にヒーターを配布しています。
どうしたら休みが取りやすいか、使いやすいか、またどういったものがあったら助かるか、そういったことは、女性社員が中心となって、話をしながら決めてきました。
制度の改定などについては、どの会社でも簡単にできるということはないかもしれませんが、生理用品や痛み止めを置くといったことは比較的取り入れやすいのではないでしょうか。それで社員が気持ちよく働けるのであれば、どこの会社でも、ぜひやってみてほしいと思っています。
休憩用ソファー
足元ヒーター
誰かが休んでも他の人がカバーできるお互い様の会社へ
生理だけでなく、体調の悪い人への思いやりの考えが深まりました
生理休暇の取り組みをするにあたって、男性社員から女性ばかり休んでいるといった批判が出てくるのではないかと危惧していました。ところが、取り組みを始めてみると、男性、女性それぞれから「生理に関わらず、体調の悪い人に対しては思いやりを持つのが当然じゃないか」という意見が多く出て、安心しました。
今後は男性も含め、更年期障害や不妊治療等の取り組みも行っていくつもりです。
生理でなくても、病気で休むということもあります。仕事が属人化していると、その人が休むと仕事が止まってしまう。それでは会社は成り立ちません。休んでも誰かがカバーできるように、正・副の担当者を決め、いざという時も仕事に支障が出ないような体制を作ってきました。それが生理休暇で休む時も生かされています。
妊娠・出産を経て育児休業に入られる人もいます。女性だけでなく、男性でも長く育児休業を取る人がいるので、そういった時にも、いかにカバーしていけるかということを会社が考えるきっかけになりました。
生理休暇取得状況
生理休暇改定前(無給扱い) の取得人数 |
:0人 |
生理休暇有給化後の取得人数 | :11人 |