妊娠中はホルモンの急激な変化の影響等により、心身においてたくさんの不調が出てきます。多くの方が妊娠初期に経験するつわりや後期にお腹が大きくなってくると起こりやすい腰痛など体の変化のみならず、メンタル的にも不安定になりやすいです。
マタニティブルーという言葉があるように、妊娠や出産に伴う気分の落ち込みなどは多くの方が経験しています。本来は「マタニティブルーズ」と言い、出産後に起こる一時的な気分の落ち込みや不安症を指すものですが、近年では妊娠中や出産後のメンタル不調を指し、マタニティブルーという使われ方が一般的です。
現在妊娠中の女性の多くが仕事をしていますし、出産後も仕事を続ける人がほとんどです。出産後については産休あるいは育休中なので職場での対応ということはあまりないのかもしれませんが、妊娠中のマタニティブルーについては職場の理解や協力も大切になってきます。まずは周囲の方が妊娠中に気持ちが落ち込んだり不安定になったりすることがあるということを理解し、妊娠中の方に対しあたたかく見守っていただきたいと思います。個人差もあるので何ともない方もいますが、辛い様子があれば、優しく声をかけてあげてください。もし職場で妊娠中の方から相談があれば、しっかり話をきいた上で、職場の産業医に相談したり、本人を通して主治医に対応を確認したりするとよいでしょう。
妊娠中の女性本人もメンタル的な不調を感じたら我慢せずに、主治医に相談したり上司に相談したりして必要であれば仕事を休む、負担を軽減することも検討してください。家族や妊娠出産経験のある友人、職場の同僚等に話をきいてもらうのもよいでしょう。
マタニティブルーの原因は明確にはなっていませんが、妊娠、出産に伴う女性ホルモンの大幅な変動、心身や環境の変化、体力低下や睡眠不足などが影響していると言われています。出産後女性ホルモンの変動が落ち着けば自然に改善されるケースが殆どなので特別な治療は行わないことが多いです。
ただ、出産後生じることがある「産後うつ」は精神疾患として治療が必要となってくることが多いので、マタニティブルーとは区別して注意しましょう。