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介護施設で働くみなさまへ

専門家からのアドバイス 働く女性の身体と心を考える委員会より

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おばたやすこ労働衛生コンサルタント事務所 所長 小畑泰子 みんなが関係者です!

今回ヒアリング調査を実施した10施設では、介護職員のうち女性の割合が52.6〜85.7%(平均70%)であり、年齢分布も30歳代の施設が多く、職員の妊娠・出産のケースも多いと考えられる。これらの施設での母性健康管理について、今回のヒアリング調査の結果としては、施設長・事務長(事業主)、フロアー長・ユニットリーダー、女性介護職員(女性労働者)のいずれの立場においても、概ね問題はない印象であった。
ただ、職場における母性健康管理に関して、規定やルールが明確になっていない施設もある。また、窓口や規定などがあっても、必ずしも現場に徹底されていない職場もあるようで、情報の周知や共有が求められている。実際の作業の調整や配慮などについては、現場のリーダーの采配にゆだねられていることが多く、リーダーの経験や考え方によって対応が異なってくる感が否めない。
以前実施した、介護職員を対象としたアンケート調査では、母性健康管理措置の認知度が低いという結果であったが、今回の調査でもヒアリングした半数以上の妊産婦またはその経験者が母性健康管理指導事項連絡カードの存在を知らないという結果であった。介護という心身に負荷の大きい業務でありながら、使用者側も労働者側も母性健康管理への関心があまりないとの見方もできる。
また、女性にやさしい母性健康づくりナビのメール相談には、介護職の妊娠中の女性労働者からも相談が多数寄せられているが、母性健康管理に対する職場の認識が浅く、夜勤の免除、軽易業務への配置転換などの業務上の配慮においてトラブルになっているケースが多い。
作業の制限、軽易業務への転換については、作業内容によって妊娠が分かった時点ですべて免除になったものから妊娠前と同様に行ったものまでさまざまであるが、施設によっても対応は異なる。やはり、力仕事や夜勤の免除などの対応が多く見られたが、妊娠の経過や体調、その他の環境や周辺の事情などは、個人差があるので、本人や主治医、産業医等とよく相談の上、決定していく必要があると思われる。
 
以上のことから考えられる今後の課題として、職場における母性健康管理の規定作成、情報の周知のみならず、個々のケースに応じたきめ細やかな業務の制限や配慮の実施が望まれる。そのためには、対応を現場のリーダー任せにせず、事業主や労働者自身にも今以上に理解と関心を持っていただき、産業医等への相談ももっと積極的に実施していくべきだと考える。

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