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介護施設で働くみなさまへ

専門家からのアドバイス 働く女性の身体と心を考える委員会より

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JR東日本健康推進センター 副所長 内山寛子 職場内の衛生委員会などを活用しましょう!

ここでは、特別養護老人ホーム10施設を対象とし、事業主に相当する施設長・事務長、中間管理職と考えられるフロアー長・ユニットリーダー、女性労働者である女性介護職員の3者のヒアリング調査結果について述べる。
対象施設の労働衛生の体制については調査では明らかでないが、労働安全衛生法に基づき、常時使用する労働者が50人以上の事業所については、産業医を選任し、業種に関わらず衛生委員会を設け、労働者の危険または健康障害を予防するための対策などの重要事項について十分な調査審議を毎月一回以上行う必要があるとなっている。また、労働者が50人未満の事業所についても安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聞くための機会を設けるようにしなければならないとされている。母性健康管理についてもこの仕組みを活用することが重要と思われる。
介護の現場では、移乗介助や入浴介助、また夜間業務など妊産婦が働く上で配慮が必要になる業務が多い。母性健康管理に関する制度については、「作業の制限」、「軽易業務への転換」、「深夜業の制限」などが就業規則等に定められていない施設も少なくなかった。理由としては、ルールを設けることで逆に対応しづらくなる、規定しなくても現場で対応できているので問題ないなどであった。実際に現場のリーダーは、職員の体調や作業の負担を勘案して、日々、作業の都度に指示を出す場合が多かった、と答えており、このことは細やかな対応という点では理解できるが、しかしながらこのままでは、現場のリーダーの負担が大きくなること、個人に負うことで対応に偏りがでることなどが懸念される。今後増えていくといわれる若い管理職や男性の管理職など誰がリーダーになっても同じように対応できるようにしておくことが重要である。制度の整備は、必要なことと考える。
その上で、職場内の衛生委員会などを活用できれば、制限が必要な業務への対応や軽易業務への転換方法などについて職場全体で検討することが可能になり、制度が職場に浸透し業務の変化にも対応しやすくなるのではないかと思われる。内容は職場の実情に合わせて検討されればよいと考えるが、例えば妊娠中でもできる業務をリストアップするということでは、職場の出産経験者から話を聞くことなどして、時間をかければできる業務なのか、一人作業でなく二人なら可能な業務なのか、また人力に頼らず機械の利用やロボット技術の導入の可能性はあるのかなど具体的な作業方法が検討されるのではないかと思われる。これらは、日常の業務の見直しをする機会にもなり作業方法の改善にもつながることと考えられる。
一方で、妊娠経過の状況は個人により異なるため、女性労働者が体調や業務などについて不安が生じたときには気軽にリーダーに相談できる職場環境が必要である。介護の仕事に魅力ややりがいを感じている女性労働者が、妊娠出産後も継続して活き活きと働き続けられるような職場作りが望まれる。

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