企業取組事例
株式会社 ワコール

「販売員にも行き届く健康取り組み」

女性従業員が約90%を占め、しかも、内勤者より外勤者の比率が高く、更にその内の約70%が外勤者である。全国にいる外勤者に向けても、健康支援の取り組みに工夫をこらして実行している。

ワコール
株式会社 ワコール
https://www.wacoalholdings.jp/
  • 業種:繊維製品製造業
  • 本社:京都府
  • 従業員数:単体 3,479名(うち女性 約90%)

※2025年9月時点

主な取り組みのポイント

乳がん・子宮がん検診の受診率100%を目指し、一部費用を補助。
ハイリスク者の二次検査も100%受診を目標にフォローを実施している。

女性向け商材を主に扱い、女性社員が多数活躍する企業特性を踏まえ、乳がん・子宮がんの早期発見と早期治療を長年重視してきた。定期健診時に婦人科健診を同時受診できる体制を整え、実際に早期発見につながった事例もある。二次検査が必要な人の受診率も100%を目標とし、受診勧奨、リマインドの徹底、従業員への周知など、会社と健康保険組合が連携して実施している。
2024年からはネットワーク健診へ移行し、婦人科健診も会社負担から一部自己負担へ変更した。「会社がなんでもやってくれる」という受け身の姿勢から、社員が自身の“かかりつけ医”を持ち、継続的な健康管理意識を醸成することを促している。

2020年9月~「パーソナル休暇」を導入!

従業員本人及び家族の傷病、育児、介護、治療等を理由に取得可能な休暇制度。生理や更年期による体調不良、不妊治療、家族の通院付き添い、学級閉鎖など、様々な事情に柔軟に対応できる。生理休暇制度は申請しにくいという人にも使いやすいよう、ネーミングもこだわった。

内勤・外勤の情報格差解消と健康リテラシー向上のための施策

従業員は、年齢層の幅が広く、年々、40歳以上の中高年層も増えてきている。外勤者へは、一律の集合型の教育は難しいが、以前、給与明細が紙ベースの時は、毎月、健康に関する情報を同封していた。現在では、会社端末を貸与するなどして、イントラや健康保険組合のホームページで動画等を使って啓発を行う。これまでは全国の店舗に勤務する外勤者へのタイムリーな情報提供が難しかったが、端末貸与等により、タイムリーに情報を届け、相互のやり取りがスムーズに行えるようになっている。
また、健康経営委員会による販売部門マネージャー向けの生理体験イベントの実施などでも健康リテラシーの向上を促進している。

<啓発動画例>

「どうする?つらいPMSの乗り越え方」

メンタル不調の予防・対応も重視。介護等の相談窓口の周知も徹底。

ストレスチェックによる高ストレス率は、男性に比べて女性の方が高く、女性特有の健康課題の一つとして捉えている。特に外勤女性においては、臨床心理士によるカウンセリングを受けられる体制を整備するなど、支援の強化を進めている。加えて、エリアマネージャーとの自己申告面談やキャリアコーディネーターとの面談機会を設けることで、「話せる場がある」「話せる場が増える」環境づくりを推進し、メンタル面のサポートの充実につなげている。
さらに、臨床心理士とビューティーアドバイザー(BA)の役割任用者が連携し、ヘルスケア相談への対応方法についてディスカッションを実施している。ここでは、キャリアコーディネーター(国家資格キャリアコンサルタントおよび店頭勤務経験を活かしてキャリア形成と人材活用を支援する人財)やエリアマネージャー(店頭勤務経験を活かして人財育成と顧客視点による現場価値創出を担う人財)がBAから相談を受けた際の注意点や、適切な回答方法などを共有し、相談対応の質向上を図っている。こうした連携により、現場での一次対応から専門支援までスムーズにつながる体制が整えられ、従業員がより安心して相談できる環境が強化されている。
加えて、産業医、保健師、キャリアコーディネーターが実際に店舗視察を行い、現場で働く従業員の業務環境や負荷、相談ニーズを直接把握する取り組みも進めている。現場を知ることで、産業医がより的確にリスクを捉えられるようになり、今後の健康支援策の検討にも反映されるなど、職場全体でのメンタルヘルス支援の質向上につながっている。

また、中高年層になると介護を負担に感じている社員が多くなる傾向があるため、当社では相談窓口の周知を徹底している。
介護については、会社として用意している制度や、介護が必要になった際に「何をすべきか」を理解できるようにガイドブックを作成している。
※介護に限らず、産後についてもガイド資料を作成しており、職場復帰をスムーズに進めるための面談シートも用意している。



<その他の取り組み>
  • ・ヘルスリテラシー向上のための啓発活動(動画など)
  • ・疾病の早期発見のための各種健診(がん検診)の実施と受診勧奨及び結果フォロー
  • ・予防的な生活習慣改善プログラムの提供(禁煙・メタボ等)
  • ・メンタルヘルスサポート(相談体制の充実・ストレスチェック後の職場改善)
  • ・健康増進に取り組める環境の整備提供
  • ・健康経営(ワコールGENKI計画)の推進
  • ・カウンセラーとエリアマネージャーによるヘルスケア相談の対応方法のディスカッション
  •  (エリアマネージャーがBAから相談があった時の注意点や回答方法など)

健康対策に取り組もうとしたきっかけ

健康保険組合に、事業主が実施すべき労働安全衛生法の健康管理業務を受託していて、何十年も前から取り組んでいる。
「ワコールGENKI計画2020」に続いて策定した「ワコールGENKI計画2025」では、生活習慣病・がん対策・メンタルヘルス対策など、これまでの施策を継続しつつ、社員が自発的に健康改善に取り組む環境をさらに整備することで、社員の健康に対する行動変容を促すこととしている。また、新たに女性特有の健康課題に対する取り組み強化も掲げ、様々な施策に取り組んでいる。

効果

これまでは、健康診断や婦人科健診の情報がスポット的になりがちだったが、ネットワーク健診への移行に伴い、自宅や職場からの通いやすさや主治医との相性を考慮しながら、自ら病院を選び、かかりつけ医を持つことで、健診結果や婦人科に関する情報を経年的かつ網羅的に扱えるようになり、「自分ごと化」しやすくなった、という声も届いている。
徐々に社員の健康リテラシーが向上し、継続就業への意識が醸成されている。

女性従業員の声

  • 販売職Aさん:
    2回乳がんに罹患。2回目とも乳がん検診でみつかり、手術・休職後放射線治療をしながらの通院も配慮してもらい、2回目については体力がなかったのでそれに応じて休職や業務も配慮してもらったので、本当に感謝している。

産休前や育休復帰後についての声

  • 百貨店リーダーBさん:
    通勤も大変で、特に悪阻時期が大変だった。遅番もあったので、二人目の産休前は、残業や遅番を免除してもらった。妊娠初期は周りやお客様からもわかりにくいので、職場でもマタニティマークなどの工夫があるといいと思った。
    職場にいる産休、育休の経験者(上司や先輩)のおかげで、妊娠中の辛さも共感し、理解してもらえたことが支えとなった。復帰後は、突発的な子供のトラブルが一番大変だった。又、主人が可能な時に在宅勤務をしてもらうなど、夫婦で連携とって乗りきっている。

  • 百貨店勤務Cさん:
    短時間勤務だったので、産休前は、辛いことはあまりなかったが、体が辛い時は、座ってできる作業を割り振ってもらえた。育休復帰後は、選択時短勤務、残業免除を利用したが、日曜日は早番でフルタイム勤務だった。普段働く時間が短いので、その分予約会は積極的に動き日々の売上げに繋がるようにした。

  • セールスDさん:
    移動が多く、パソコンや書類が重く大変だった。産休前の大型販促では、販売応援を見送るなど、会社には配慮してもらった。
    復帰後は、子供の迎えでちょっとした残業もできないので、産休前より時間に慎重になる事が大事なことである。

(初出:2020年8月取材。2026年2月に再編集・加筆済み。)

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