- 業種:卸売業
- 本社:東京都
- 従業員数(男女別):4,829人(男性3,636人 女性1,327人)
※2025年5月時点
ポイント
- さまざまな勤務制度を用意し、妊娠・出産等によるライフステージの変化に対応
- 「仕事と育児の両立支援ハンドブック」を作成。本人や上司にも配布し、相互理解を深める
- 健康セミナーの開催などで社員による自律的健康管理を促す
各種勤務制度の整備
- 妊娠・出産を経ても安心して働けるよう、法定以上の勤務制度を整備。全社員対象のフレックス制度等も充実しており、すべての社員が柔軟に働ける環境づくりを推進
妊産婦向けとしては、当初通勤緩和措置として導入されたものを改定し、最大2時間の時短勤務ができる制度として整備しました。また、定期健診受診時や体調不良時に利用できる欠勤制度、産前・産後休業などがあり、それらはすべて有給(法定以上)としています。
そのほか、全社員対象の制度として、コアタイムなしのスーパーフレックス制度やテレワーク勤務(週3日まで)など、妊産婦も含め、すべての社員がフレキシブルに働ける制度として定着しています。
理解促進のために
- 「仕事と育児の両立支援ハンドブック」の作成、配布
妊娠・出産・育児に関する諸制度や各種手続き方法、仕事との両立のための情報等を掲載したハンドブックを2014年から作成し、法改正などのタイミングで改定版を随時発行しています。スーパーフレックスの対応事例や、育児休業から復帰した社員の体験談等の掲載。また、近年は育休取得した男性社員の声も加えたりと、時代に即した内容へと更新しています。上司層へも配布し、部下から妊娠等の報告を受けた際の対応例などを示すことで、ミスコミュニケーションの回避につながっています。
ハンドブックは社内のイントラネットで誰でも閲覧できるようにしているほか、「両立支援の通信」という育児関連の情報を発信することで、当事者以外の社員にも制度を周知しています。
ハンドブックには、妊娠・出産する本人だけでなく、上司に向けたアドバイスも併記
- 健康セミナーの開催、健康関連情報の発信等
社員による自律的健康管理を目指し、健康に関するセミナーを開催しています。直近のテーマとしては女性特有の健康課題、メンタルヘルスケア、睡眠、飲酒習慣、食生活、運動習慣、歯周病と全身疾患の関連等について、主に対面+オンラインのハイブリッドで開催しました。特に女性特有の健康課題に関するセミナーの際は、相談窓口や利用できる制度についての周知を行うなど、更なる理解促進に努めています。
また毎月診療所医師が作成する健康情報資料を社内イントラにブログ記事として掲載するなど、セミナーの開催と併せ、従業員が自律的にセルフコンディショニングしていく仕組みを整えています。
そのほかの取組
- 社内診療所(内科・歯科)設置
- 人間ドック、婦人科健診費用補助
- 高度医療見舞金制度(健康保険適用外の病気治療の際の費用補助制度)
- 海外勤務者の健康支援
- カウンセリングセンター設置(会社や第三者への情報提供を行わない「守秘義務厳守」を徹底、業務時間中の利用可能)
- マッサージルーム設置
- フェムテック展示会含むWellness Dayイベントの開催 等
- オフィス近隣の保育施設との提携
- 育児、介護のコンサルタントサービスの提供
- 子の看護欠勤(小学校卒業まで、年間5日/有給)
- 配偶者出産休暇(配偶者の妊娠中~出産日から2週間の間で通算5日/有給)
- 子のみを帯同する海外駐在員への支援制度(ベビーシッター利用料補助等)
- 男性育休座談会の開催
制度を実施する際の工夫
上司へは、フォローを担う社員への配慮を促す
産前・産後休業やそのほかのフォローを担う社員に不公平感が生まれないような環境作りも重要視しており、上司層へは、誰がほかの社員のフォローをしているのかを把握したうえで適切な評価やマネジメントをするよう促しています。
組織横断的コミュニケーションの機会を設け、キャリアの見通しを立てられるように
先輩女性社員の会やチーム長クラスの座談会、女性社外取締役の話を聞く機会など、様々な社員と交流できる場を多数設けています。1on1等で日常的にコミュニケーションをとっている社員だけでなく、他部署の様々な経験をしている社員の話を聞くことで、育休等からの復職後も働き続けるイメージを描くことができたり、長期的なキャリア形成を考える一助となっています。
制度の周知を地道に続けることで、制度利用者を増やすだけでなく周囲の理解促進効果も
制度を整備し始めた2000年代は、女性社員の人数が増えてきたり、海外駐在を女性社員にも任せるようになってきた時期でもあり、「妊娠したら、これまでのようには業務を遂行できないのではないか」と懸念する向きが男女問わずありました。そこで、「会社が整備した各種制度を利用すれば、変化するライフステージに適した働き方ができますよ」ということを繰り返し周知してきました。現在のように1on1が定着する以前は、上司と部下の面談に人事労務担当者が同席したり、ハンドブックを全社員の机に配布して回るなど、地道に周知活動を続けてきました。
成果・効果
妊娠・出産による退職者ゼロに。ライフイベントも見据えながらキャリアを考えたい女性が活躍できる会社に。
2000年代から続けてきた制度や環境整備の結果、プラチナくるみん認定制度が始まった2015年にはプラチナくるみん認定を取得しました。妊娠・出産や病気がキャリアを中断することなく、制度を上手に利用したうえで、誰もがやりたい仕事にチャレンジできる社内風土が醸成されています。社員の意見も踏まえて様々な環境整備をしてきたことで、女性社員から「モチベーションが上がった」等の反応も寄せられています。
(本記事は、2024年7月に実施した取材(母性健康管理に関するインタビュー)の内容をもとに構成し、2025年度に一部加筆を行ったものです。)