企業取組事例
株式会社 新日本科学

「従業員の健康第一」のトップメッセージを実現!社長自ら健康施策を企画
株式会社 新日本科学
https://snbl.com/
  • 業種:医薬品開発受託事業
  • 本社:鹿児島県
  • 従業員数:1,423名(うち女性768名)
  • 産業保健スタッフ数など:健康管理課、総務人事本部(保健師:2名)

主な取り組みのポイント

乳がん・子宮頚がん検診(任意検診)の導入(2010年度から)

2010年から、任意検診として乳がん・子宮頸がん検診を導入。検診の重要性を理解してもらうため、導入前に、乳がんモデルを活用した健康教育を各拠点にて実施。

乳がん・子宮がん検診にプラスして骨粗鬆症検診を導入(2024年度から)

骨粗鬆症の予防として、2024年度より骨粗鬆症検診を導入。オフィスワークで座りっぱなしの状況は、骨粗鬆症のリスクを加速することが予測され、骨粗鬆症検診を導入することで、骨粗鬆症の早期発見やプレゼンティーイズム※1の改善及び健康寿命の延伸に繋げていくことが期待できる。

※1 健康問題が理由で出勤時の生産性が低下している状態

ウエルネスラウンジでのヨガセミナーの開催

2024年に新社屋が完成し、福利厚生施設の一環としてウエルネスラウンジのスペースもできたことから、外部講師によるヨガセミナーを実施。身体の歪みを整えて正常な姿勢に戻し、自律神経とホルモン系の活性と調和を図っていく目的にて2クール実施。

ヘルスアップセミナーを各拠点で実施

「女性のライフステージごとの女性ホルモンの働き」、「月経周期」、「月経前症候群」、「子宮・乳房の疾患」、「おりもの」に関するセミナーを実施。これらの内容はどちらかというと隠したい話になるので、 それを払拭して、リラックスしてもらいたいと言う気持ちからアロマを焚く、ハーブティを提供するなど工夫した。
セミナーにおいては、PPT資料の他に女性が日々悩んでいるけれど、正しい具体的な対応策がよくわからないで困っている問題点にフォーカスして、具体的な解決策を示したQ&A方式での資料を作成し、配布。Q&A方式での資料の作成にあたっては、『女性のための20項目ヘルスチェック』のアンケートを行い、大勢の社員が回答してくれたおかげで、ニーズに合った資料が提供でき好評を得た。

性別問わず実施している健康対策

体力測定の導入(2024年度から)

60歳以上の男女について、外部のフィットネスクラブとコラボして体力測定を実施。
測定項目は「握力」「長座体前屈」「開眼片足立ち」の3項目について実施し、それぞれを評価し、身体上のリスクと体力向上のための運動の提案を実施。自身の体力を客観的な指標で確認することで、健康維持・増進を実現し、労働災害の防止や健康寿命延伸にも繋げていくことが期待できる。

その他の取組

  • ポピュレーションアプローチ※2(健康教育など)
  • ハイリスクアプローチ※3(個別保健指導など)
  • 定期健康診断結果に基づく二次健診受診勧奨と事後措置
  • 定期健康診断結果に基づく保健指導の実施
  • 健康づくり支援事業(健診結果に異常なしの人への健康支援費支給、年間MVP表彰など)
  • 追加検診補助金制度(2020年度から導入:がん検診・甲状腺・人間ドックなど)
  • 肩こり・腰痛予防対策事業(トランクソリューション(姿勢・体幹能力を向上させる装具)導入、外部講師による講演など)
  • 感染症予防対策(本人及び同居家族が感染症を発症した場合は、Microsoft Formsの仕組みを利用して、自宅からでもスマホから報告できる仕組みを整備)
  • メンタルヘルス委員会(1回/月開催)
  • 健康相談窓口設置
  • メンタルヘルス相談窓口設置
  • メンタルヘルス教育(外部講師による講演開催など)
  • ストレスチェック結果に基づく職場環境改善
  • メンタルヘルス相談窓口設置
  • 健康相談窓口設置
  • 健康問題発生に伴う両立支援
  • 禁煙支援プログラム実施
  • 社員食堂での野菜を多めに摂取できるメニューの提供

※2 生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団と捉え、事業場全体の健康状態の改善を目指すもの

※3 生活習慣上の課題を有する労働者個人を対象とした、個々の健康状態の改善を目指すもの

健康対策に取り組もうとしたきっかけ

CHO(最高健康責任者)である社長からの提案で、人間ドックや低線量肺CT検査、女性社員を対象とした甲状腺の検査等に対しての補助金制度を導入した。定期健康診断+αの充実した健康管理内容の提供により、この会社に入って良かったと思ってもらうと共に従業員の健康保持・増進が実現できれば素晴らしいと考えている。
社長及び副社長がどちらも医師ということもあり、経営陣、人事部門、産業保健スタッフ等が一致団結、協力しながら、社長及び副社長の指導のもと、社員一人一人が健康で幸せになってもらいたいという強い思いから、様々な健康管理対策を整備していった。

導入に際して工夫したこと

社員に対しては導入する施策に関して、健康教育資料を作成し、ヘルスリテラシー向上とともに施策導入効果を高める意味でも、いつでもその内容を自身で確認できるように社内イントラに掲載している。また、健康に関する施策のトレンドを抑えながら、社員の声も反映するように心掛けている。

効果

2009年、各拠点で乳がん子宮がんの検診受診について質問してみたところ、数人程度しか受診している人はいなかったが、任意検診導入や健康教育実施により、受診率は数%から約70%へ増加し、早期発見・早期治療に繋がったケースも数例あり、いずれも職場復帰を実現できている。2024年から導入した骨粗鬆症検診についても一部に要精密対象者もあり、早期発見効果が期待できると予測している。要精密対象者には受診確認を行い、適切な早期治療と生活習慣改善を支援していく。

今後の課題、展望

常にPDCAを回しながら健康経営を醸成していくことと、女性の健康管理対策のさらなる充実とともに、社員一人一人が効果的にパフォーマンスを発揮できる組織構築及びwell beingの達成を目指している。

女性従業員の声

ヨガセミナーについて従業員からの反応

ヨガセミナーの参加者については、参加者全員が『非常に良かった』とアンケートに回答、満足度の高いセミナーとなった。フィジカル面でもメンタル面でも効果を実感したという社員の声が聞かれ、今後も定期的に開催してほしいという要望が多かった。

がん手術を経験した女性従業員から寄せられた声

  • がんの手術を2回している。会社が加入している健保の保検給付も助かったが、休暇に入る前に、会社からパソコンを支給していただいたことが良かったこと。術後はすぐには、仕事ができないが、体調が少し落ち着いた時に、自宅で仕事ができ、復職するときもスムーズだった。
  • 現在でも、仕事もしながら治療も行っているが、3箇所の病院に通院していることから、時間単位休暇がとれるので、とても助かっている。
  • がんの手術は急な出来事であり、周りの方々には迷惑をかけてしまったが、「ゆっくり休んでね」と言われたのが、本当にありがたかった。

(2020年取材・2024年改訂)

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