企業取組事例
ロート製薬 株式会社

フェリチン(貯蔵鉄)検査や鉄分補給などによる、貧血と不定愁訴対策を実施

製薬会社ということもあり従業員の健康づくり対策には力を入れているが、女性の健康課題についても、婦人科検診の無償化や更年期対策セミナーの実施など様々な取り組みをしている。 その中でも「かくれ貧血※対策」として行っている鉄分補給などのプログラムは、女性に多い不定愁訴(原因ははっきりしないが、なんとなく体調がすぐれない)の改善に取り組んでいる。
※かくれ貧血については「貧血・かくれ貧血」のページを参照



オフィスでのバランスボール
ロート製薬 株式会社
https://www.rohto.co.jp/
  • 業種:医薬品・化粧品・機能性食品等の製造販売
  • 本社:大阪府
  • 従業員数:単体 1,529名(うち女性883名)

※2019年度

主な取り組みのポイント

貧血・かくれ貧血対策

社内アンケートを実施したところ、なんとなく体がだるいという不定愁訴を訴える女性が多かった。その原因は明確には分からなかったが、 貧血との関係性を探っていこうということで、2018年に「体質改善 28Day’s チャレンジ」~鉄不足対策と不定愁訴改善プログラム~を実施。「毎日手軽に鉄分を摂取すること」、「毎日自分の状態を可視化すること」=「鉄活」 と名付け、医師による「不定愁訴と鉄分不足セミナー」受講後、鉄分含有ゼリーを毎日1個摂取、生活習慣手帳の記録などをする継続重視型プログラムを実施したところ、短期間にも関わらず54%に不定愁訴の頻度減少などの改善が見られた。 このプログラム終了後も、引き続き貧血測定イベントや医師を招いた社内セミナーの開催、社内食堂では貧血対策メニューの提供など継続しており、将来的には貧血ゼロを目指している。

女性特有の健康について学ぶ

「女性ホルモンの変化と対策セミナー」(女性対象)の実施や、女性の体についての内容と産休・育休などの社内制度・手続きを一冊にまとめた「女性のハッピーワークBOOK」の全社員配布などにより、 女性特有の健康課題について学ぶ機会を積極的に設けている。また、毎朝実施している健康ドリル(1日1問)では、10月のピンクリボン月間に乳がんの問題を出すなど工夫している。

婦人科検診無償化

甲状腺検査、乳がん・子宮頸がん検査、風疹麻疹抗体検査・ワクチン接種(男女とも)、フェリチン検査、HPV検査、女性ホルモン検査は会社負担、エクオール検査は健康社内通過 『ARUCO(アルコ)』※で交換できる。
※『ARUCO(アルコ)』従業員の日々の歩数や早歩き時間、スポーツ実施や非喫煙など健康的な生活習慣の実施状況に応じて、独自の社内通貨(健康コイン)を付与。獲得したコインは、従業員の心身の健康づくりにつながる幅広い用途で利用できる。



<その他の取り組み>
  • ・産休中のネット相談・復職支援・ベビーシッター補助・育児休暇の延長
  • ・毎年の体力測定の実施
  • ・社内健康測定会の実施(血管年齢、肌測定など)
  • ・希望者を対象に先進的な健康チェックの機会を提供(睡眠改善、血糖値スパイク等)

健康対策に取り組もうとしたきっかけ

男性も女性も同じように健康を目指そうということで取り組みはしていたが、2000年初頭にはすでに従業員の約6割が女性であり、女性には女性にしかないライフステージがあるので、 それに応じた健康対策が必要だと女性社員が自ら手を挙げ、2003年に女性の活躍プロジェクトが発足された。男性にはない女性の問題というものを掘り下げていく中で、もちろん男性にも必要ではあるが、女性の3人に1人が甲状腺疾患になりやすいということで、 甲状腺検査を無償で取り入れようということになった。この辺りが女性特有の健康対策のスタートである。

導入に際して工夫したこと

工場においては、事務系では分からないことも多いので、メインの2工場では自主的に取り組む健康アンバサダーを設置し、自分たち工場部員の健康への取り組みを行っている。

今後の課題、展望

冊子を渡すだけではなかなか読んでくれないこともあるので、そのあとのフォローが必要である。冊子に限らず、ほかのセミナーなども含めた反応として、 女性が一生のうちで女性ホルモンの変化に応じて精神的に不安定になったり、いろいろな病気になる可能性があるということを知らない男性が多い。産後うつという言葉自体知らない人も多い。そういう女性ホルモンの変化に応じて 女性は心身共に変わっていくというところを理解してもらう一助にはなっていると思うが、さらに浸透させていきたい。

女性従業員の声

  • 「鉄活」に参加して、疲労感・倦怠感を感じる事が少なくなった。毎日自分と向き合う事になるので、なんとなく体調が良いとか悪いではなく、自分の体調を可視化できたのが良かった。 強いストレスを受けている時の自身の行動パターンが分かり、ストレスと体調との関係に気づくことができた。

  • 「女性ホルモンセミナー」に参加して、女性でありながら生理のしくみと女性ホルモンの働きについて良く知らなかった事に気づいた。女性ホルモンと体調や気分の関係についても知れて良かった。 酷い生理不順で毎月悩んでいたので、低用量ピルについて知る事ができて良かった。まずは受診してみようと思う。漠然と更年期に対する不安があったが、対策を知る事で少し安心できた。会社補助で女性ホルモン検査が受けられるようになったのは本当にありがたい。

(2020年8月の取材に基づく内容です。)

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