従業員一人ひとりの心身の健康と、ソーシャル・キャピタルの考え方に基づく良質なコミュニケーションの促進に取り組み、最大限のパフォーマンスを引き出せる環境づくりを推進。ウェルビーイング経営の実践を通じて、健康維持・増進を積極的にサポートするだけでなく、女性従業員が心理的安全性を感じながらコミュニケーションを取りやすく、活躍しやすい職場環境の整備にも注力。

主な取組みのポイント
コミュニケーション
相談しやすい環境づくりを目的に、女性限定のチャットルームを設置したり、上司が部下の話を聴く「Weekly 1on1」を週1回25分実施するなど、さまざまな取組みを行っている。
また、組織の幸福度や心理的安全性などを可視化する「Well-being Company Survey」を毎月実施したり、THANKSカードを活用して「ありがとう」の文化を醸成しその効果を測定するなど、戦略的にコミュニケーションをデザインすることで心理的安全性の高い組織づくりを大切にしている。
理解の促進
全従業員が参加必須の「女性の健康に関する研修」をウェビナー形式で実施し、動画は男女問わずいつでも視聴できるようにしている。また、動画視聴だけに留まらず、理解度テストや事後アンケート回答も併用することで従業員の率直な感想や評価を把握している。さらに社内報や社内イントラに健康コラム等を掲載することで、ヘルスリテラシー向上に取り組んでいる。
柔軟な勤務体制
女性に限らず、本人の働きやすい環境を優先するため、テレワークか出勤かは本人が選択できる。また、新入社員を含め全社員がフレックス勤務制度を利用している。(試用期間中は適応外)
その他にも、生理休暇を有給化&適応条件拡大した特別休暇制度「YOU休」を設けている。この制度は、月に1日もしくは半日×2回までの範囲で有給休暇を追加で取得できる制度である。
公平性
YOU休では 、生理時や更年期障害に伴う体調不良に加え、産前支援(男女ともに不妊治療や妊婦検診の付き添いなどにも利用可能)まで適応条件を拡大し、様々なライフステージの女性や男性をサポートする工夫をしている。
また、健康診断のオプション補助について、男女問わず一律額支給とすることで、婦人科検診の補助をしつつ公平性も考慮している。
健康に関するアンケート、ワークショップの実施
アンケートから様々な健康課題を洗い出し、眼精疲労や食事、睡眠のワークショップを開催するなど、興味をもって楽しく健康対策ができるよう工夫している。
その他の取組み
- 個人と組織の幸福度アンケート(Well-being Company Survey)や健康アンケート、ストレスチェック等のサーベイにより組織や個人の課題にいち早く気づき、ヒアリングや組織体制改善を実施
- Wellnessアンバサダー(社内でウェルビーイング・健康を広める横断プロジェクト)
- 役員や人事担当者等による相談窓口の設置
- セルフケア、ラインケア研修の実施 など
健康対策に取り組もうとしたきっかけ
目指す働き方「従業員みんながいきいきと働きパフォーマンスを最大限に発揮する」を継続的に行うためには、心身の健康が欠かせないと考えている。そのため、企業理念において「カルチャー(従業員全員が共有する価値観であり合言葉)」6項目の一つに「健康」をあげ、健康経営に力を入れている。2018年に健康経営推進最高責任者としてCHO(Chief Health Officer)を設置し、2020年にはCWO(Chief Well-being Officer)へと名称を変え、ウェルビーイング経営(健康経営)を推進している。施策の一つとして女性の健康対策にも積極的に取り組んでいる。
導入に際して工夫したこと
特別休暇制度「YOU休」は、従業員から「生理休暇を取りたい」という言葉が言いづらいという意見を受け採用された独自の名称。この名称は、「あなた」を意味する「YOU」と「有給」を掛け合わせたものである。「生理休暇を取ります」というよりも「“ゆうきゅう”を取ります」と言ったほうが口に出しやすいという声が多く、上司も申請を承認する段階で「有休」か「YOU休」かを知る必要がないため、休暇取得に支障はない。また、この名称には、実用性だけでなく「あなたのための休み」という想いも込められている。
今後の課題、展望
コミュニケーションを戦略的にデザインすることで、従業員や組織全体の健康課題をより迅速に把握し、戦略策定から実行・実現まで行いたいと考えている。また、今後も従業員自らの企画運営による自主的な健康プロジェクトを推進していきたい。
女性従業員の声
- 女性の健康づくりに関する研修(動画)を男女とも視聴したことで、全社で知識を共有できて良かった
- 女性限定チャットルームで生理のつらさなど話し合える
- 健康系ワークショップはイベントのようで楽しく、気軽に参加できた
- オンラインでのワークショップ(眼精疲労対策など)は、営業職で時間が合わなくても、動画での視聴ができてよかった
- 上司との1on1が毎週あるので、普段からコミュニケーションが取りやすい
- 「YOU休」は症状が重くなる時間帯に合わせて半日単位で利用できるため、周囲のメンバーへの負担も少なく、精神的な安心感を得られている
(2020年取材・2024年改訂)