企業取組事例
株式会社 浅野製版所

病気や体調のことも気軽に相談できる、安心して働ける風土づくり

健康経営のコンセプトは「多様性を認め、社員がどのような状態であっても働き続けることができる企業」。 一人ひとり症状が違う病気や不調をネガティブに受け取らず、誰もが気軽に相談でき、安心して働ける職場づくりを行う。

浅野製版所
株式会社 浅野製版所
https://www.asanoseihanjyo.co.jp
  • 業種:画像処理・デザイン・プランニング・DTP・フォトレタッチ・印刷関連事業
  • 本社:東京都
  • 従業員数:36名(うち女性17名)

※2024年度

主な取り組みのポイント

女性の健康研修の実施

生理痛により休む人が一定数いたため、きちんと学ぶ事が社員たちの役に立つと思い実施!

女性にとって生理は長く付き合っていくもの。病院で薬を処方してもらえばそのときの痛みを和らげることはできるが、なかなか相談しづらく、知識を共有することも難しい。 そこで自分自身の体のことを学ぶために女性社員全員を対象に2020年に「PMS(月経前症候群)研修」を開催。食生活や睡眠の質を意識し、根本的に生活習慣を変えることで、改善できることを学んだ。以降、毎年女性ホルモンの変化に関する研修や骨盤臀筋群ストレッチ、更年期障害と同じような症状がでる甲状腺機能障害などについて、男性社員も一緒に研修を受講する機会を設けている。


生理などの急な遅刻や休みでも、対応できるサポート体制

男性社員が女性社員の体の不調に対して、理解度が高い!

チームでスケジュールを把握しているため、急な体調不良が発生しても誰かが対応できる環境が整っている。また、男性社員の60%が家庭で育児や介護にかかわっており、両立支援や、女性の体調不良について理解がある。たとえそれが生理痛であっても、他の体調不良であっても、変わらずサポートをしてくれる。


健康診断時の女性の健康検診の実施

年齢関係なく、女性社員なら全額会社負担で実施!

年1回、定期健康診断の際に乳がん検診・子宮頸がん検診、一年ごとに骨密度、甲状腺、エクオール検査を全額会社負担で実施している。 定期健康診断内での女性健診は20年以上前から実施しており、就業時間内で検診を受けることができる。再検査の場合も、産業医の指示があれば、同様に就業時間内に行くことができる。

性別問わず実施している健康対策

定期的な社内での運動

当社の社員が2級ラジオ体操指導士の資格を取得し、社内でラジオ体操動画を制作。毎週WEB会議システムを利用して体操の動画を流す形で実施している。


大腸がん検診を全額会社負担で実施

年1回、社員全員に対して大腸がん検診を、5年以上在籍している社員には腹部エコー(肝臓・胆のう・膵臓・脾臓・腎臓)を実施している。(全額会社負担)


制度に沿ってのストレスチェックの実施

毎年11月に実施。産業医が結果を確認し、面談の実施が必要な社員がいないかをチェック。気になる社員には声がけを行い、希望した場合は面談を実施している。


健康推進のためのプロジェクトチーム

健康推進のため、社内で「健康経営エキスパートアドバイザー」を育成し、5名が認定資格を取得。社内研修や取組みのサポートを行っている。
また、女性の健康プロジェクトも発足させ、年に1度、要望アンケートを実施。化粧室の改修や生理用品の設置、乳がんチェック方法がわかるお風呂ポスターや乳がん手袋の配布など女性の声を反映させた取組みも行っている。

健康対策に取り組もうとしたきっかけ

今後、病気に限らず、出産や育児、介護などの離職によって働き手が減る可能性がある。そのため事業を継続していくためには、 「社員一人ひとりが健康で働き続けられる職場環境の構築」がもっとも重要であると考えた。
当社では社員を健康にすることだけを目的とはせず、社員がどのような状況であっても働き続けられる職場環境づくりを目指して、 2017年から働き方改革をベースとした健康経営を実施している。

導入に際して工夫したこと

社内掲示板で健康情報を共有

社内のオンライン掲示板で健康・睡眠・運動に関する情報を定期的に配信。また同居家族にも読んでもらうため健康関連(睡眠や感染症予防等)の 冊子を自宅に郵送したり、共用スペースなど皆が集まる場所に配置したりして、健康経営・健康に対して興味を持ってもらえるように工夫している。


病気や体調のことも気軽に相談できる風土づくり

入社時から個人面談を繰り返し行っており、何かあれば相談するという風土が醸成されている。また、体調不良で調子が悪い、入院しなければならないといった場合でも、 安心して復帰できるように会社全体でサポートを行うことを徹底している。


本人の事情に沿った治療との両立、復職支援

制度はしっかりと構築しているが基本的には、そのときの体調と医師の見解を合わせて一人ひとりの状況を見ながら両立支援内容を変えている。どのような状況であっても、 本人が1番能力を発揮できるような状態で受けいれるというのが当社の考え。


産休・育休の不安に対して、働くお母さんをイメージさせた!

産休・育休を取得している状態がイメージできず、退職する女性社員も多かったため、2018年にあえて、子育て中の女性に短時間勤務で入社していただいた。その女性の努力もあって、 当社でも子育てしながら女性が働き続けられる企業であるというイメージが社員に浸透。2019年には女性社員が産休育休を取得。以降、結婚や子育てを理由に退職する女性社員はおらず、2024年には課長職以上の女性管理職率が62%となっている。

効果

いつ、誰が病気や育児、介護などで仕事ができない状況になるかは分からない状況のなか、必要のない作業を減らし、お互いがサポートしあえる環境をつくったことで、常にお互い様であるという意識を持ちながら対応できるようになった。 また、社内で情報を共有しているため、いざというときの意思決定が早く、すぐに対応できるようになった。

今後の課題、展望

社内で取組みを行うときのアイデアは毎年3月に実施している全社員面談から要望を吸い上げている。これは、そもそも中小企業の事例自体が少なく、他社の事例を持ってきてもうまく行かないことのほうが多かったことと、 社内で起こっている問題の解決策は社員が持っていると考えているため。他社の事例を知識として持ったうえで、社員がどのような働き方をしたいのか、健康についてどんな悩みがあって、どのように仕事をしていきたいのかを 直接聞き、社内改善に役立てていく。これらは定期的に行っていかなければズレが出てきてしまうので、今後も年1回、全社員面談を実施し、社員が働きやすい環境づくりを行っていきたいと考えている。

女性従業員の声

  • PMS研修を受けたことによって、食生活や睡眠の質を意識するようになった。生活習慣を変えたので、受ける前と比べて、生理痛もだいぶ良くなった。 病院では治療以外の相談はしづらいし、なかなかこういった内容は学ぶ機会も少ない。 実際に仕事でも支障が出ていた部分もあったので、研修に参加して改善するきっかけをもらったことはとてもありがたかった。自分のなかでの大きな取組みだった。

  • 急な体調不良の際は在宅勤務に切り替えができ、業務も他の社員がサポートしてくれるので助かっている。


浅野製版所 応接室 兼 休憩室

応接室 兼 休憩室

浅野製版所 休憩スペース(小上がり)

休憩スペース(小上がり)

浅野製版所 外観

外観

浅野製版所 WEB体操

WEB体操

(2020年取材・2024年改訂)

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