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東京女子医科大学医学部衛生学公衆衛生学(一)教室 野原理子 自信を持って!

「仕事も育児も中途半端。こんな状態でいいのかな。」夜布団に入ったとき、こんなことを考えていませんか?

仕事には一生懸命取り組んでいる。でも、子どものことや家族のことなど家庭の事情を調整しながら仕事をしなければならず、残業をしたくても切り上げて帰らなければならない。スキルアップのために講習会や研修に行きたくても、勤務中にその時間は取れない。かといって、勤務時間外に設定される講習会や研修に行くには、家庭の事情を全て調整しなければならずさらに厳しい。

与えられた仕事はこなしているけれど、他の人はもっと働いているに違いない。研修に参加してスキルアップもしているだろう。定時で帰る私が、自分のやりたい仕事など申し出られるはずがない…。

家では朝から朝食を作り、子ども達の持ち物を確認し用意する。朝食の片づけやら子どもの歯磨きやら、分刻みのスケジュールで家を出発。子どもを保育園に送り、走って出勤、その後8時間しっかり勤務。帰り道では日常の買い物、保育園の迎え。家に着くと一息つく間もなく、夕食の支度・食事・片付け・お風呂の準備・入浴(子どもと一緒)・子どもの連絡帳の確認・洗濯…。夜布団に入る瞬間まで、一瞬も休憩時間はない。こちらもきっちりこなしているが、子どもの寝顔を見ながら、「もう少しゆっくりと一緒に過ごしてあげられたら」と申し訳ない気持ちになる。働くママさんたちは、職場でも家庭でも、日々こんな思いをしていることが多いのではないでしょうか?

でも私はそんな皆さんに、ぜひ自信を持っていただきたいと思っています。皆さんはどちらも中途半端なのではなく、実は家庭をしっかり維持しながら、仕事もきっちり完結することができている、優秀な人材なのです。私の考察によれば、働くママさんたちは、毎日の生活での実践から、自然と高い能力を身につけています。
特に以下の3点
1.危機管理能力が高い
2.作業効率が良い
3.慈しむ心・感謝の気持ちを持つ
を解説することで、そのことがお分かりいただけると思います。

1.なぜ危機管理能力が高いのか?
働くママさんたちは、常に緊急事態(子どもの急な発熱等)を想定し、曜日・時間帯別など様々な設定でシミュレーションを行っています。どのように対策を立てているかというと、まず緊急時に対応できる人(サポーター)の確保をしています。具体的には、緊急サポートやシッター会社への登録、両親への依頼や夫の教育(指示?指導?)など、二重三重の体制で備えています。次にそのサポーターの方たちを、曜日・時間帯別に依頼すべき優先順位を決定し、連絡方法や対応までにかかる時間、その後、数日間の調整すべき事項など、より詳細な内容の確認をします。さらに、有事に備えてサポーターの方々や、職場の方々との良好な関係を構築しています。ですから、実際には子どもの急病などで職場に大きな迷惑をかけてしまっていることは、ほとんど無いのです。

2.とにかく作業効率が良い!
働くママさんたちの職場での作業可能時間は、厳格に設定されています。それは、子どもの保育園等への送迎時間が遅刻厳禁だからです。今日はちょっと仕事が多いから残っちゃえ!というわけにいきません。しかし職場では、同僚と同じだけの業務量が課せられますから、必然的に効率よく作業が進められるように工夫し、業務の優先順位を明確に決定し、優先順位の高いものから、確実にこなすことができるようになっているのです。ですから、緊急時のBCP(事業継続計画)策定などは、お手の物ではないでしょうか。

3.慈しむ心・感謝の気持ちを持っている
最後に強調したい点として、この「慈しむ心と感謝の気持ち」を挙げました。働くママさんたちは、日々の子どもとのふれあいによって、心が満たされます。どんなにつらいことがあっても、子どもの笑顔を見ると、自然に元気がわいてがんばれます。そして、子育てをしながら働けることに対して、周囲のサポートに対する深い感謝の気持ちでいっぱいです。満たされた気持ちが自ずと全ての子ども、さらには全ての人々に対する慈しみの心に繋がり、会社でも周囲を大切にし、暖かい人材育成ができるのです。

働くママさん!ご自身の高い能力を、ご確認いただけたでしょうか?そして企業の皆さん、この貴重な人材、会社の宝をどうぞ大切にしていただければと思います。

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