
キャリア・カウンセラー
針原 桂子
子育てを「プラス思考」でとらえよう

仕事柄、育児と仕事との両立に悩む女性のご相談をよくお受けします。たしかに、育児はマニュアルどおりにはいかないことだらけですし、その経済的な負担や十分とはいえない保育環境などのことも考えると、それだけでも不安材料は多いと思います。さらに、厳しい職場環境の中での仕事との両立を考えたら、不安や迷いを感じるのは当然かも知れません。
でも、「子育て」の大変な面やマイナス面だけにとらわれないで、働く側としても企業としても、それを「プラス」のチャンスとして活かして頂きたいと思います。
まず、働く女性には、もし「子育て」できるチャンスに巡り会ったのなら、せっかくのその機会を「プラス」にとらえて、ぜひ、「子育て」を十分楽しんで頂きたいと思います。そのために大切なことは、「がんばりすぎないこと」です。
どんな人にも、1日は24時間しかありません。いくらがんばっても、育児をしながら出産前と同じように働き、どちらも完璧にこなすなどということは、どだい無理な話です。無理なことは無理と割り切る度胸と育児を楽しむ気持ちの余裕を持ちましょう。
育児や家事では、自分にしかできないこととそうでないこととの区別をしっかりつけましょう。子供やパートナーとコミュニケーションをとることや、心理的にサポートをすることは、母や妻であるあなたにしかできないことですが、それさえしっかりできていれば、人手に頼れることは頼り、利用できるサービスは利用し、手抜きできるところは手を抜きましょう。
仕事については、子育てに時間を取られる時期には多少の「減速運転」になったとしても仕方ないと割り切りましょう。焦って無理をして、健康を害しては元も子もありません。仮に65才まで働くとしたら、まだまだ先は長いのです。実力とやる気さえあれば、この先いくらでも取り戻すことはできると考えましょう。
そして、企業の方々には、子育て世代の従業員が働きやすい職場環境や制度の整備を、積極的な「人材戦略」の一つとして、前向きにとらえて欲しいと思います。
少子化時代において、企業が発展を続けていくためには、いかに優秀な人材を確保してしていくかということが、大きな鍵になってきます。そのためには、働く側にとって、魅力ある職場環境を提供できる企業であることが必要です。
もちろん、育児中の従業員を対象とした時間外労働の免除や短時間勤務制度などは重要ですが、少ない従業員で遅くまで残業するのが当たり前になっている職場で、自分の評価が下がることを気にしながら、肩身の狭い思いで帰宅するというような状況では、とても働きやすい環境とはいえません。十分な人員を配置し、育児や介護に携わる従業員だけでなく、すべての従業員が過度な残業をすることなく、趣味や勉強、社会活動のための時間を持てる、すべての従業員にとって働きやすい魅力ある職場環境作りへの積極的な取り組みが望まれます。
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