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企業ご担当者の方
妊娠・出産などを理由とする不利益取扱いの禁止

職場における母性健康管理の推進

社内体制の参考事例

職場における母性健康管理の推進に当たって、社内体制の参考になる好事例をご紹介します。

1.取り組みをはじめたきっかけ   2.検討体制   3.具体的な取り組み内容
4.プラスαの取り組み   5.取り組みの効果   6.他社へのアドバイス

3.具体的な取り組み内容

妊娠初期 妊娠中 産前・産後
健診時間
の確保
通勤緩和 休憩時間
の確保
施設整備 時間短縮
勤務
業務転換、
就業制限
相談窓口
の設置
産前・
産後休業
育児中 全期
育児時間 育児休暇・休業 経済的
支援
職場復帰支援 情報提供 研修の
実施
風土
づくり
検討体制
づくり

妊娠初期

健診時間の確保
──健診時間の確保についての制度を具体的に教えてください。

〈母健カードの活用法〉
これまで母健カードを活用したことは数えるほどしかありませんが、それ以上に職場上司により融通性をもった対応が図られています。

〈有給/無給〉
2時間まで有給としています。
「通院休暇」を設けているので、健診の際には利用できます。

妊娠中

通勤緩和
──通勤緩和の取り組みについてお聞かせください。

規定通りに実施しています。また、「つわり休暇」があり、11日間のうち3日間が有給で取得できます。

〈勤怠の方法〉
医師の診断書または母子手帳のコピーを人事チームに提出するだけです。

休憩時間の確保
──休憩時間は確保していますか?

〈休憩場所の確保〉
規定通りに実施しています。

〈有給/無給〉
有給としています。

施設設備
──休憩室などの施設は設置されているのでしょうか?

特にありません。

時間短縮勤務
──時間短縮勤務について、具体的な取り組みをお聞かせください。

時間短縮勤務制度と時差出勤制度があり、始業および終業の時間をそれぞれ1時間ずつ調整できます。最大で、子どもが小学校就学後の4月末まで延長が可能となっています。

〈有給/無給〉
無給としています。

〈勤怠管理の方法〉
会社規定の書類を上長に提出します。

業務転換、就業制限
──業務転換や就業制限などは、どのように行っていますか?

〈業務転換〉
職場の中での配置換えや、業務量の軽減等で対応しています。

相談窓口の設置
──相談を所轄する部署はどこですか?

特に相談窓口を設けているわけではありませんが、人事・総務グループの柳田さんが、窓口的役割を担っており、育児休暇中の女性社員と電話で密に連絡を取り、意見を吸い上げてくれています。

社員の中でも「妊娠・育児に関して何かあれば柳田さんに聞けば良い」という認識が浸透しているので、いろんな相談ごとが上がってくるようです。「最近、みんなはこんなことを考えているみたいですよ」とか、「こういう制度が欲しいみたいですよ」といった声をヒアリングしてくれるので、私たち人事は、素直にその声に耳を傾け、役員との調整を図りながら改善していくという流れになっています。柳田さんのようにパイプ役となってくれている人物がいることは、とても助かっています。

産前・産後

産前・産後休業
──産前産後休業について、具体的な取り組みをお聞かせください。

〈取得できる期間〉
産前6週、産後8週で取得できます。

〈代替要員の確保〉
社内異動で対応することもあるし、派遣を依頼することもあります。ただ、専門スキルを持った女性労働者が産休に入る時は、代替人員の確保に苦労します。ちょうど昨年、技術者の女性が産休を取得することになったのですが、本人も「技術は日進月歩進化しているので、長く仕事を離れることは不安だ」と言っていました。そのため、「なんとか自宅でも仕事をできないか」と考え、在宅勤務制度を導入することになりました。これは、1ヶ月のうち10日間だけ自宅で勤務するというものですが、彼女はこの制度を利用して、1年で3プロジェクトを遂行しました。

〈有給/無給〉
無給としています。

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育児

育児時間の確保
──育児時間の確保について、具体的な取り組みをお聞かせください。

1日のうちに、30分の休憩を2回まで取得することができます。しかし、実際に休憩時間を取得する者はおらず、時短勤務と同様に1時間終業時間を遅らせたり、切り上げたりして利用している人が多いようです。

〈有給/無給〉
無給としています。

育児休暇、育児休業
──育児休暇、育児休業について、具体的な取り組みをお聞かせください。

〈育児休業〉
昨年から、育児休暇は最大で子どもが3歳の4月末まで延長できるようになりました。延長に踏み切った理由は、従来通り1年の育児休業であれば、退職せざるをえない社員が2名ほどいたからです。その女性社員たちは、2人目、3人目の出産になるため、1年で復職するのはきついとの声が上がっていました。それで急きょ話し合いを持ち、「どうにか辞めずにすむように、育児休業を延長しよう」ということで、制度の改定に踏み切りました。本来は、今年度からの改定だったのですが、彼女たちのために予定より1年早く導入することになりました。

もし、導入されていなければ、彼女たちは辞めざるをえなかったでしょう。これも、パイプ役となってくれる柳田さんが生の声をヒアリングしてくれているからだと思います。また、トップもとても前向きなので、意志決定が素早くなされることも柔軟に対処できる大きな要因です。

〈代替人員の確保〉
社内異動で対応することもあるし、派遣を依頼することもあります。また、本人が希望し職場側のニーズとマッチすれば在宅勤務を行うこともできます。

〈有給/無給〉
無給としています。

〈業務の引き継ぎ〉
1ヶ月ほど時間をかけて引き継ぎを行います。

経済的支援
──経済的支援についてお聞かせください。

〈保育費の援助〉
ありません。

職場復帰支援
──職場復帰支援の取り組みを具体的にお聞かせください。

円滑な職場復帰を可能にするため、育児休業復帰講習を行っています。
シナノケンシでは、原則は原籍復帰ですが、組織もめまぐるしく変わるので完全に原籍復帰というわけにはいかない場合もあります。そのため、復職後の部署が変更になる場合には、復職の1ヶ月前くらいに通知し、慎重に講習を行います。たとえば、候補となる部署をふたつほど用意して、異動を決定する前に、どちらの上司とも面談した上で、自分自身の好みや適正を見定めてより良い部署へ復職してもらうようにしています。その際には、上司がマンツーマンで仕事の進め方をレクチャーします。

その他、人事・総務グループの柳田さんと伊藤さんが、定期的に育児休暇中の社員へ連絡し、現状をヒアリングしたり会社の情報提供を行ったりしてコミュニケーションを図っています。

全期

制度に関する情報提供
──制度について情報提供するためにどんな工夫をしていますか?

〈情報提供のツール〉
社内イントラにアップする他、ガイドブックを作成して配付しています。また、口コミによって情報が広がっているケースも多いです。

〈情報を提供するタイミング〉
ガイドブックは妊娠の報告があった者に配付しています。

研修の実施
──研修の実施方法について、取り組みをお聞かせください。

〈対象者の選定〉
新入社員研修時に話をする他、管理職には年4回説明を行っており、社長直々にレクチャーを行います。

〈実施のタイミング〉
新入社員研修や管理職研修の際に行います。

風土・社内環境づくり
──風土・社内環境づくりについて、取り組みをお聞かせください。

社長自ら積極的に取り組んでいるため、「母性健康管理に対する取り組みを行うことは当たり前」という認識が、早くから社内に根づいています。

検討体制づくり
──母性健康管理の制度に関して、その後の検討体制はどのように作っていますか?

就業規則については、数年に1度点検し、「現状に即しているか」「きちんと守られているか」を見直しています。これには代表取締役はもちろん、監査役、本部責任者、人事責任者の4人がかかわり、全項目洗いざらい点検します。その他、2年に1度、全社員に向けて「オピニオンサーベイ(社員意識調査)」というアンケートを実施し、社員の考えをヒアリングしています。

実施体制・各部門の役割
──母性健康管理の申請から実施までの体制や、各部門の役割についてお聞かせください。

妊娠の報告は、まずは現場の上長に報告します。その後、女性労働者たちが何か不明なことや相談ごとがあれば、人事の柳田さんに相談するという流れができています。

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