平成9年の男女雇用機会均等法の改正の際、それまで女性が就くことができなかった多くの業務が解禁になりましたが、いくつかの業務については母性保護の観点から制限が残りました。その一つが、「鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、シアン化水素、アニリン、その他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務」でした。
しかし、「なぜ、これらの業務に女性を就けていけないのか?」、「それ以外に制限しなければならない化学物質はないのか?」、「どの程度の濃度なら大丈夫なのか?」といった疑問に対して、科学的根拠が不足しているか、根拠があっても利用できる形で整備されていなかったため明確に答えることができませんでした。そのため、規制が実情に合わないことは明らかでしたが、改正が見送られてきた経緯があります。
昨今、化学物質の危険有害性等の情報については、国連主導でGHSと呼ばれる世界統一基準ができ、わが国でもそれに合わせた各種の改正が行われてきました。その整備が整ったことを受け、この度女性労働基準規則の一部が改正され、規制の対象物質や対象作業が変更になりました。(平成24年10月施行)