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企業ご担当者の方
妊娠・出産などを理由とする不利益取扱いの禁止

職場における母性健康管理の推進

社内体制の参考事例

職場における母性健康管理の推進に当たって、社内体制の参考になる好事例をご紹介します。

制度の充実はもちろん、“利用しやすい”制度を目指して取り組んでいます。
日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
1.取り組みをはじめたきっかけ   2.検討体制   3.具体的な取り組み内容
4.プラスαの取り組み   5.取り組みの効果   6.他社へのアドバイス

3.具体的な取り組み内容

妊娠初期 妊娠中 産前・産後
健診時間
の確保
通勤緩和 休憩時間
の確保
施設整備 時間短縮
勤務
業務転換、
就業制限
相談窓口
の設置
産前・
産後休業
 
育児中 全期
育児時間 育児休暇・休業 経済的
支援
職場復帰支援 情報提供 研修の
実施
風土
づくり
検討体制
づくり

妊娠初期

健診時間の確保
──健診時間の確保についての制度を具体的に教えてください。

保健指導または健康診査を受けるために通院する場合は休暇(妊娠通院休暇)を取得することできます。通院のための遅参・早退は勤休取扱い上、遅参・早退として取扱われません。また、通院の為の外出も私用外出として取扱われないようになっています。申請の手続きについては、申請書も用意していますが、口頭で上司に伝えるケースが一般的です。

〈母健カードの活用法〉
昨年8月に立ち上げた育児支援のホームページにて、「母性健康管理指導事項連絡カード」にリンクするURLを掲載したため、当社でも利用者が増えました。それまでは、母健カードの存在や入手の方法がわからない社員が多かったようです。

妊娠中

通勤緩和
──通勤緩和の取り組みについてお聞かせください。

妊娠中、「ラッシュを避けたい」という場合、通勤手当を会社側で負担し、より体に負担がかからない通勤経路を選択できる制度を設けています。

休憩時間の確保
──休憩時間は確保していますか?

必要に応じて、休憩時間が確保できる制度を設けています。

〈休憩場所の確保〉
妊産婦専用の休憩室はありませんが、健康管理センターには数台のベッドがありますし、仮眠室も設けています。その他、休憩スペースにはリクライニングシートを設置して、疲れた場合には横になることもできます。搾乳スペースは確保していないので、化粧室を利用している人が多いです。冷蔵庫は完備しているので、搾乳した母乳を保管しておくことは可能です。

〈有給/無給〉
短時間であれば差し引くことはありません。

時間短縮勤務
──時間短縮勤務について、具体的な取り組みをお聞かせください。

以前の時短勤務は6時間の固定でしたが、平成19年度より「4時間、5時間、6時間、7時間」の4パターンから選択可能にしました。また、コアタイムのないフレックス制度(フル・フレックス制)も設けましたので、妊娠している女性社員は、これらの時短勤務とフルフレックス制を併用して利用するケースが多いです。

〈有給/無給〉
時短勤務を利用した場合、時短分は無給となります。会社としては有給にしようかと考えましたが、「通常勤務者のことを考えると無給のほうが公平」という声が、ワーキンググループのメンバーから上がったため無給としました。

〈勤怠管理の方法〉
自己申告としています。

業務転換、就業制限
──業務転換や就業制限などは、どのように行っていますか?

当社には、妊娠や体調不良によって部署替えが必要な業務は、ほとんどありません。どうしても業務転換が必要な場合は、同じ部署内でフォローします。

相談窓口の設置
──相談を所轄する部署はどこですか?

人事部門で集約し、メールや電話を通じて相談を受け付けています。また、こうした相談窓口を設置していることは、イントラネットに掲載し、全社員に知らせています。また、労働組合側でも門戸を開き、どんな意見でも受け付けています。

産前・産後

産前・産後休業
──産前産後休業について、具体的な取り組みをお聞かせください。

出産予定日の産前8週間(多胎妊娠は14 週間)から産後8週間まで出産休暇を取得できます。(産前は予定日より8週間以内の任意期間、産後は原則として8週間の取得が必須。)

〈代替要員の確保方法〉
代替要員の確保方法として、基本的には部署内で補完するか、担当替えを行なうかで対応しています。それでも人手が足りないときは、新たに代替要員を手配します。ただ、当社の場合は、部署によって必要な技術が異なるので、本部単位に担当領域を広げて対処する場合がほとんどです。

〈有給/無給〉
無給としています。

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育児

育児時間の確保
──育児時間の確保について、具体的な取り組みをお聞かせください。

フレックス制により対応しています。

〈有給/無給〉
有給です。

育児休暇、育児休業
──育児休暇、育児休業について、具体的な取り組みをお聞かせください。

引続き就業する意志がある社員については、原則として満1才に達する日以後の最初の3月31日までにある子を育てるために、育児休職を取得することができるとしています。

〈代替要員の確保〉
部署の中で代替要員を補完しています。

〈有給/無給〉
無給です。

〈業務の引き継ぎ〉
育児休業に入るまでの数ヶ月で徐々に引き継ぎを行い、うまく対応しています。

経済的支援
──育児中の労働者に対する経済的支援などの取り組みがあればお聞かせください。

〈ベビーシッター補助〉
社団法人全国ベビーシッター協会の指定した事業者を利用する際に、割引券が使用できます。

〈延長保育料補助〉
延長保育料補助 業務のために保育園の延長保育を利用した場合、支払った延長保育料の半額(上限15,000 円)を補助しています。

〈育児・教育ローン〉
育児・教育ローン 育児に係る融資を希望する場合、日立キャピタルの「目的別ローン」が利用できます。

職場復帰支援
──職場復帰支援の取り組みを具体的にお聞かせください。

〈パソコンの貸し出し〉
ひとつは、セキュリティに対応したパソコンを休職者に支給することで、休職中も社内のイントラネットにアクセスし、情報を取得できるようにしています。

〈研修など〉
職場復帰前の研修等については、現在、イーラーニングは実施していないので、今年から始める予定です。しかし、育児休業を取得する年代の職員は、技術レベルが高い者が多いため、上級者にも対応できるよう教育関連の部署と連携を図りながら内容を詰めていく予定です。

〈産休・育休復職前面接〉
また、スムーズに職場復帰するために、復職前1〜2ヶ月前を目処に上長との面談を実施しています。

──育児休暇を経て職場復帰するときは、同じ部署に復帰するケースが多いのですか?

部署異動を希望される方はほとんどいないので、基本的には同じ部署に復帰します。ただし、お子さんが通う保育園の場所の関係で、それまでの事業所では通勤しにくいという場合は、勤務地を変更して対応するケースもあります。

全期

制度に関する情報提供
──度について情報提供するためにどんな工夫をしていますか?

〈イントラネットの活用〉
すべてを社内のイントラネットで公開しており、社員は誰もが確認できる状態になっています。

〈ガイドブックの配布〉
また、「妊娠した女性社員が参考にするマニュアル」「報告を受ける側の上司用のマニュアル」の2種類を作成して詳しく紹介しています。これらのマニュアルは、関連会社の冊子を参考にしたり、当社の中で、よく質問にあがっている項目などをまとめたりして作成しました。

研修の実施
──研修の実施方法について、取り組みをお聞かせください。

新任課長研修の際に、社内制度全体の研修を行なっており、その中で母性健康管理の内容の説明をしています。

風土・社内環境づくり
──風土・社内環境づくりについて、取り組みをお聞かせください。

社内のコミュニケーションを活発にすることで相互理解が深まり、制度を利用しやすい環境につながると考えています。そのため当社としては、補助金を出し、懇親会や親睦会の開催を奨励しています。

検討体制づくり
──母性健康管理の制度に関して、その後の検討体制はどのように作っていますか?

下記のように、立場や経験の異なる女性ワーキンググループを結成しています。

  • ・部長や課長といった管理職の女性
  • ・既婚女性、未婚女性
  • ・すでに子育てを経験している女性
  • ・まだ子どもがいない女性 等

──社員同士が互いに意見交換できるようなコミュニケーションの場を設けていますか?

設けています。ワーキンググループもそのひとつですし、昨年は、外部の講師を呼んで講演を行った後、その講師も交えてティータイム座談会を開催しました。また、労働組合でも交流会を開いているので、月に1度はコミュニケーションの場を提供しています。
また、イントラネット上にも「仕事と家庭の両立」に関する専用掲示板を開設し、男性も含めた誰もが参加できるコミュニケーションの場も提供しています。

──労働組合のみでなく、ワーキンググループを結成して意見をヒアリングしたのはなぜですか?

制度立案に当って、われわれ人事部が「良いだろう」と考えて作った制度でも、現場のニーズに的確に対応できなかったケースもありました。そのため、真のニーズを汲み取るために社員に直接聞きたいという思いがあったんです。
労働組合が社員の意見と大きく異なる要望を出してくると思っているわけではないのですが、やはりそこには、世の中・日立グループ全体の動き、これまでの組合活動との継続性などを考慮した上での執行部としての意見となることもあります。そのため、社員の「生の声」を直に聞くために、ワーキンググループを立ち上げました。

──ワーキンググループは今後も継続していく予定ですか?

継続します。現在は、初代のワーキンググループと、第二弾で立ち上げたワーキンググループのメンバーが一緒になって、在宅勤務制度について話し合っています。
当社は女性社員が少ないので、ワーキンググループを開くことで、女性社員同士が知り合うきっかけになればと考えています。横の繋がりを作っておけば、妊娠・出産・育児などで困ったことが起きた場合でも、女性社員の間で相談しあうことができますからね。

また、新入社員研修の時期には、ワーキンググループのメンバーが、女性新入社員を全員招待してウェルカムパーティーを開くこともあります。折りにふれてコミュニケーションを深めることで、女性社員の輪も深まっていくのです。

──労働組合との連携についてお聞かせください。

人事部にも女性総合職を、また労働組合の執行部にも女性役員を配置し、相互に深く話し合える環境を整えています。

実施体制・各部門の役割
──母性健康管理の申請から実施までの体制や、各部門の役割についてお聞かせください。

妊娠した女性社員は、まず直属の上司に報告し、上司はそれを人事に報告します。 健診等は、社内の規則で受けられることになっています。
申請書を用意しているが、口頭による申請でもよいこととしています。

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