ただし、ハラスメントの解釈は難しく、ハラスメントをした側としては、まったくそのようなつもりはなくても、された側としては、不快であったり傷ついたりするということはありますし、同じようなことであってもそれを不快に思うかという点において受け取る側によって差があるため、判断や評価をすることも困難です。
このサイトへも、職場からのマタニティハラスメントを受けていると思われる内容の相談が多く寄せられています。しかし、その多くの場合で、おそらく職場側(上司等)は、妊娠中の女性社員に対してハラスメントをしているという認識は全くありません。さらに、受けている側の女性社員もハラスメントを受けているという認識がないように感じることもあります。職場で取り組むべき母性健康管理や母性保護についての正しい知識がなく、関心が薄いからそのようなことが起こっているのだと思います。職場としても当事者である女性社員としてももう少し関心をもっていただきたいと思います。
その一方で、大変少数派ではありますが、法的な規定などを逆手にとって権利を主張するばかりの方もいます。職場の事情によっては、妊娠中の女性社員に対して様々な配慮をしたくてもできない場合もあるでしょう。業務の軽減や体調不良による休暇などにより、周囲の方の負担が増えることも事実です。それを当然の権利として、受け止めるのではなく、やはり迷惑をかけている、申し訳ないという気持ちは持っていただきたいと思うのです。こういうことは、「お互い様」です。自分がしてもらったら他の人にしてあげる、それは、妊娠・出産のみならず、傷病による体調不良や介護等による休暇の取得などでも同様なのです。