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OURS小磯社会保険労務士法人 代表社員 小磯 優子 M字を描く労働力率から見る女性の働き方について

 日本では、女性の労働力率をグラフにするとM字型カーブを描くことは比較的知られていると思います。「平成23年版 働く女性の実情(抜粋)」によると、「25〜29歳」と「45〜49歳」を左右のピークとし、「35〜39歳」が底になるM字型カーブを描いています。なぜM字型カーブを描くかというと、ボトムになる年代に結婚・出産で女性が仕事を辞めるためだと考えられています。各国の女性の労働力率のカーブを比較してみると、日本と韓国だけがM字を描くというところが特徴です。それだけ海外の国は女性が出産期であっても働いているということになります。

 平成12年の調査では、M字型カーブの左側のピークは20歳〜24歳だったのが平成22年には「25歳〜29歳」へ移り、M字のボトムも「30歳〜34歳」がであったのが平成22年は「35歳〜39歳」へ移っており、また底が浅くなってきています(平成23年度のボトムの労働力率は67.6%)。山が静かに動いていくごとく、状況は徐々に変化して行っているわけです。

 これは、平成4年に育児休業法が成立して、それまで産前6週間と産後8週間しか休めなかったものが、生まれた子が1歳になるまで育児休業を取得できることになったのが大きかったと思います。しかし法律で育児休業を取得できることになっても、当初はなかなか育児休業を取得しにくく、「育休第1号が出た」など会社で騒ぎになったこともあったほどです。そんな経験をしながら育児休業のお蔭で、出産による退職を考えずに済むようになり、女性の労働力率のM字の底は浅くなってきたわけです。

 その後、平成17年の育児休業の対象範囲が拡大され、パートで働く女性も育児休業の取得が可能(一定の条件あり)になったのも大きな影響があったと思います。また平成22年の改正では子供が3歳になるまで短時間勤務制度を導入することが会社の義務とされ、女性が子供を育てながら働くときに一番希望が多かった制度が法律に反映されました。

 これら働きながら育児をする女性を守る法律について、会社も働く女性もまだまだ知らないことが多すぎるように見受けられます。せっかくの制度ですから、人口の減少に伴い不足していく労働力を元気な女性の労働力が補うことが可能になるよう、会社も働く女性ももっと勉強して社会全体でそれを活用できればよいと思います。その結果、女性労働力率もM字ではなく男性や海外の女性と同じような台形を描くことになるのが理想なのではないでしょうか。

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